ちょこっとデザイン

2015-10-24 12.28.10

〈2つの家の間に、雨に濡れずに行き来のできる工夫をほどこしました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は伊丹市で築4年めに入った木想家へお邪魔してきました。以前からご依頼を受けていた、ある工事をおこなうためです。大工のREOくんと私のコンビでつくれる、ちょっとした工事。

 

冒頭の写真がその完成形です。木の家のバルコニーに、ちょこっと庇がくっつきました。それも、お向かいのお宅の庇の上に。家の間をつないでつくられたこれが、ご依頼の工事なんです。

 

実はこの右側のお宅は、お客さまのご両親の家。こちらの家の掃出窓の前に、ご両親のお宅の勝手口があって、両家はこの間を頻繁に行き来しておられるのですね。

 

雨の日にお向かいの家に行く時、このバルコニーと庇の間のちょっとの間で濡れてしまうのを防ぎたい。それが今回の、両家からのご要望というわけなのでした。

 

「仮設的な簡易のものでいいんです」というお話ですから、なるべくコストを抑えてつくって差し上げたい。しかし用途はしっかりとクリアし、なおかつ構造として丈夫でないといけません。

 

それを見た目に自然なかたちで、出来れば軽やかに美しくつくりたい。そういう想いを込めた私なりの答えが、これです。木の三角形が三つ、骨組みとして並んだデザインです。

 

出幅のある庇というのは案外難しくて、雨をしのぐのはもちろん、台風の時などに吹き上げてくる風の力にも耐えうる強度が必要です。単なる薄っぺらい庇では、たちまち飛ばされてしまいますね。

 

その強度をもたらすのがこの三角形。建築的には「頬杖(ほおづえ)」と呼ばれる下からの支えの材を設け、なおかつ庇自体の骨と一体化させています。その形を二等辺三角形にデザインしています。

 

これを、バルコニーの手摺支柱にしっかりと固定する。実は下から見上げると三角形ですが、実際はもっと屋根が伸びています。これは制作途中のもの。

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でも、この伸びた部分はご両親宅の庇の上なので、見えないんです。下からは三角形が並ぶデザインになる、という次第。その上に、ポリカーボネートの板をがっちり取り付けて、庇とする。

 

ポリカーボネート材を使ったのは、下の通路が暗くならないように、ですが、これにも一工夫してあります。見上げると透明ではなく、曇った色で汚れが目立たない。でも斜め横からくる光は通すというタイプをセレクト。

 

ちょっとした庇の工事とはいえ、何も考えずにつくるのと、強度、かたち、光といった要素をまとめあげるべくデザインに工夫してつくるのとでは、全く違うものになると思いますし、材料費はほとんど同じでも、その付加価値は雲泥の差だと、私は想います。

 

そうした工夫を盛り込み、それを大工さんに伝えながら、自分も手元(てもと:手伝い大工のこと)として協力しつつおこなう小さな工事は、とても面白い。今日はそんな楽しい時間と、完成をご覧になったお客さまの笑顔に、私の心もとても軽やかになったのでした。


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