静かな不思議

2015-10-24 10.12.57

〈木の家のあちこちに飾られたある画家の絵を一緒に語るのも、ご訪問の喜びでした。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

昨日、庇の工事をしにお伺いした木想家、実はもうひとつ私がご訪問を楽しみにしていることがありました。それは、このお客さまとの美術談義です。私も好きな、ある画家について。

 

冒頭の写真は、このお宅の「家族の間」の一番いいところに飾ってある作品。この不思議な雰囲気の絵は、ベルギーのシュールレアリスムの画家、ルネ・マグリットですね。

 

最近はちょっと熱がおさまっている感じですが、私も、特に20代の頃はマグリットが非常に好きでした。シュールレアリスムの画家の中では静かな画面で、でもとても不思議な、調和と不調和を両方一度に描いたような、そんな作品たちが。

 

家の一番いい場所にあるこの絵は、私もマグリット作品中で最も好きなもの。『光の帝国』という作品です。昼と夜の情景がひとつに合成され、それが不思議な詩情を醸しだしている、名作だと思います。

 

『光の帝国』には何作かのバージョンがあるのですが、その中でこの、画面下部に水面があるものが私も一番好き。その感情をお客さまと共有しつつ、絵についてお話するのは、とても楽しい時間です。

 

こちらのお客さま宅には、この場所以外にもあちこちにマグリットの絵があります。こんな感じで。

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これは『上流社会』という作品かな。私にお茶を出してくださった、そのコースターにも、マグリット作品がいましたよ。

 

画集もたくさんあって、本当にお好きなんだなあと、行くたびに思います。そしてお客さまいわく「木の家とマグリットは合いますよ」と。むむ、私自身、そうした目線で見たことはありませんでした。

 

でも、そう言われて考えてみると、私の考える「よい家」というのも、確かに私がマグリットの作品から受ける印象と重なるものがあるようにも思います。

 

それは、一見とても静かで、普通の感じに見えて、実はその中に非常に考えぬかれたものをもっている、そんな感じでしょうか。いかにも奇を衒ったような派手な家、シュールレアリスムで言うとダリの絵のような家は、木想家ではあり得ません。

 

マグリットの絵は、あるアイデアをイメージとして絵に定着させるために、その描き方を熟考し、選び抜いているという感じがします。そしてそれが上手くいった時、絵には「静かな不思議」が宿るのかも。

 

シュールレアリスム的な意味ではなく、家にもそんな、ちょっと不思議なところがあったらいいですね。最初は意味がよくわからないけど、永く住んでいるうちに段々とわかってくるような。

 

マグリットと木の家。あまり今まで考えたことのなかった関連をお客さまの言葉から想い描く、その時間も面白かった。そしてまた、改めてこのベルギーの画家の作品たち、観直してみようかと思っています。


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