模索のなかから

2015-10-26 15.11.04

〈懐かしいお客さま宅で、慣れないつくりに戸惑った思い出が甦ります。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今週は毎日「木の空間」で何かしら講座があります。そしてまた午後からは、あちこちの住まい手さん宅へおうかがいする、そんな週です。月曜日、楽しいブランチ会のあとにも、ある木想家へ赴きました。

 

冒頭の写真がそのお宅。築15年めを迎える、私の志事歴の中でもだいぶ古い方の木の家です。でも写真のように、白い壁もそのままに素敵な雰囲気の中で暮らしていただいていました。

 

年に一度、ご挨拶にはお邪魔していたのですが、中まで入らせていただいたのはずいぶん久しぶり。自分が間取りを考えたこの吹抜空間を見ていて、つくり手として色々と感慨深いものがあったんです。

 

15年前、KJWORKSのつくる木の家は、もっと柱や梁がいっぱい現しになった、今のスタイルよりもだいぶ「和風」というか、木の見え方が多い家でした。

 

そんな中で、このお客さまのお好みは、白い壁のすっきりとした木の家。柱は見えず、梁もあまり見えない、そんな家。写真は吹抜の中を上がっていく階段部分なのですが、階段の手摺も白い壁でつくるというのは、当時は非常に珍しいこと。

 

そんなご希望をお聞きして、いつもとは少し違う考え方で木の家をつくるという、私たちにとっても刺激のある家づくりだったという次第。そこから、今に繋がる色んな試みも生れました。

 

吹抜の上を見るとわかりますが、建物の構造材も、いわゆる集成材が使われています。柱や梁がほとんど見えない状態で、壁の中で木が割れたりすることのないように、など色々考えて、出した答え。

 

その後、非常に割れにくい「小国杉」と出会って、壁の中に無垢材を使っても安心できるようになったという経緯があります。このお宅にお伺いして内部空間にいると、その当時の模索を昨日のことのように思い出しますね。

 

そして15年の歳月を経て、今またKJWORKSのチャレンジとして、小国杉無垢材の家づくりの他に、このお宅のような集成材による構造も使うようになってきています。

 

そんな新しい家づくりの模索の中に、その魁としてつくったこの家での色んな試みも、きっと生きている。そうしたことを、ダイニングテーブルから吹抜を眺めながら、強く思ったんです。

 

新しいチャレンジ、そしてそこでの良き答えを求めての模索の旅は、苦労をした分、自分の中にしっかりと貯めこまれているんですね。そしてその模索の中から、別の局面での己に役立つものが立ち現れる。

 

木の家、というものがこれからの日本でどういう姿になっていくのか、私にはわかりませんし、そこには様々な考え方があるでしょう。しかし、色んなタイプの木の家を経験してきているなら、柔軟に対応できそうですね。

 

15年前の懐かしい思い出と戯れながら、模索の中からの「蓄え」を私に与えてくれたこの家に、思わず感謝の念を抱いた私だったのでした。

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