里山に永らえて

2015-11-15 10.48.50

〈廃校となった小学校を活かしたイベントで、建物の歴史も楽しんできました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日はお誘いをいただいて、西宮市の北の方へと足を伸ばしてきました。有馬からもほど近い、船坂というところ。そこにある、廃校となった小学校でのイベントがあったんです。写真多めでご紹介しましょう。

 

それは、「西宮船坂ビエンナーレ」という名の芸術祭。冒頭の写真がその、元・船坂小学校の建物ですね。ここで、地域住民の皆さんによる主導でおこなわれているものだそうで、今年は6回目だとか。

 

この元小学校の建物があるのは、とても気持ちのいい里山の風景の中。こんな感じです。

2015-11-15 12.04.46

 

周囲には茅葺きの古民家が何軒も残っていたり、なんだか懐かしい感じのする景色の中で、ビエンナーレを楽しんできました。校庭では色んな出店があり、写真に幟が写っている「船坂そば」もいただきましたよ。

 

そして、なんとも言えないレトロな雰囲気をもつ木造の校舎。ギシギシの廊下の床板が鳴るのもまた楽し。

2015-11-15 10.55.26

 

教室であった部屋には、それぞれ色んな現代アートが展示されていました。ギャラリーの白い壁の前にあるのと、また違った見え方をするのが面白いですね。

2015-11-15 11.07.50

2015-11-15 11.15.47

 

木の床、木の窓、木の引戸。着色はされていますが、やはり木造の校舎というのはいいですね。私は鉄筋コンクリートの校舎でしか学んだことがないのに、何なんでしょう、この懐かしさを呼び起こす魅力は。

 

最近、こうした廃校の建物を何らかの形で転用、活用し、地域の新しい賑わいの拠点となっている施設のことが、よくメディアに採り上げられるようになりましたね。

 

そんな施設に木造校舎も多いように思うのは、やはりレトロでどこか郷愁を誘うような、あの独特の味わいが失われるのを惜しむ気持ちがみなさんの中に起こるからなのではないでしょうか。

 

そして、そこに新しく「用途」という風が吹き込まれたということ、そのことに何だかほっとする気持ちもまた、日本人の心に自然と湧き起こるものなのかもしれない、そんな気がします。

 

私自身は、「永く住み続けられる木の家」をつくることを志事にしています。ですからより強く、こうした「建物が生き永らえる」ということに価値を感じますし、そうして地域の皆さんの役に立っているこうした建物を見るのはとても嬉しいですね。

 

「スクラップ・アンド・ビルド」という名の、建築業界におけるよくない慣習は、いわゆる施設建築にも、そして住宅建築にも等しく蔓延しています。つくる側がそれを望んでいる節すらある。恐ろしいことです。

 

そういうものに嫌気が差して、今のこの志事を選んだ私には、船坂小学校と呼ばれていたこの建物が、紅葉に染まりゆく里山の絵の中で、なんだか微笑んでいるようにすら思えたんです。

 

建物だってそうそう簡単に壊されたくないはず。ましてや多くの子供達の暮らしを包んできた学び舎ならば、そこに宿るものは大きいですね。イベント時だけでなく、普段からスペース利用を推進しているこの建物を、なにか私も応援できたら。そう感じた雨上がりの時間でした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です