土と茅の里

2015-11-15 12.52.31

〈船坂エリアには、小学校の活用だけでなく、里山の居住空間を復活させる試みも共に動いていました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

昨日からずっと雨ですね。すっきりしない天気の中、事務所で図面を描きながら、先の日曜日に行ってきた里山の雨上がりの清々しい空気を思い出していたら、ひとつ書いていないことがあったのに気づきました。

 

冒頭の写真がその風景。ビエンナーレがおこなわれた元・船坂小学校のある里山には、このような茅葺きの民家がいくつか残っていて、ビエンナーレの会場になっているものもあったのでした。

 

私は、その会場となった古民家に入って状況を観察するうち、思わず自分の専門とも言える日本の木造建築のことを色々と喋ってしったんです。そして主催者側の方からもご相談を受ける、なんてハプニングもあり、それもまた楽しい時間。

 

残念ながら、里山と呼ばれる船坂地区でも、元は茅葺き屋根の民家(お寺もありました)でも、その上から板金のカバーを掛けてしまっている建物の方が多くなっている。そんな状況ではあります。

 

しかし、その中でいくつかは、元々の茅葺きとして復元し、後世にまた遺していこうという活動をしておられるものがあったんです。とても素晴らしいことだし、日本の住文化の中での大きな意義を感じますね。

 

冒頭の写真の建物は、武庫川女子大の建築の学生さん方による「茅葺き古民家の修復」がおこなわれている家。プロの協力を得ながら自らの手で修復・復元をおこなう中で「伝統文化や日本の建築様式を学ぶ」というプロジェクトだそうです。

 

古民家族」という名がつけられたそのチーム、活動がブログで紹介されています。また、そこに技術提供をした職人さんのブログも。

※武庫川女子大の皆さんによる活動紹介ブログ ・ 茅葺き職人のブログ

 

茅を葺き、土壁を塗る。それは現代の家づくりの中で忘れ去られている、昔の「自然素材だけの家」をつくる体験です。メンテナンスフリーからは程遠い、徐々に朽ちて自然に帰っていく建築を。そして周囲にはこんな場所があちこちにある。

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この景色を「美しい」と思える感性こそ、人工物でありながら自然の中に馴染み、風景となり得る建築を生み出すことが出来るのだと、私は想います。茅葺き民家の復活プロジェクトは、そうした感性を育てる試みだとも言えるのではないでしょうか。

 

里山の風景が、徐々にハウスメーカーの家に埋め尽くされていく。そのことを悪だと言う権利は私にはありません。しかし、人間の居住環境を向上させながら、なおかつ昔ながらの風景を守るということは、不可能ではないんです。

 

ほんの少数派と言えども、そうしたプロジェクトが動いている船坂地区。それらが起爆剤となって、小学校の木造校舎よりも更にずっと古い木造住居が、新たな生命を吹き込まれることを願ってやみません。


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