じぶんで治す

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『癒す心、治る力  ~自発的治癒とは何か』   アンドルー・ワイル 著   角川文庫

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS 木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

本書は「世界的ベストセラーとなった医学の革命書」なのだそうですが、寡聞にして私は全然知りませんでした。しかし最近「ガイアシンフォニー」という映画のシリーズのことを知って、その予告編に登場したワイル博士に、とても惹かれたんです。

 

映画もまだ観ていませんが、しかしまずはその著作をと、1995年に刊行された本書を手に取った次第。20年前の本、ということですね。そういう気持ちで読み始めました。

 

本書に最も頻出する言葉、それは「治癒」でしょう。治療ではなく、治癒。タイトルにある通り、人間には「治る力」がある。この本はそれを、単に「病は気から」というレベルでなく、人間に備わった「治癒系」というものの存在と働きを明らかにしようという試みなのです。

 

ワイル博士はそれを、欧米の伝統医学や東洋医学、シャーマニズムにいたるまでをフィールドワークし、その実践的研究から導いたのだと言います。西洋医学の従来の枠組みを大きく逸脱したその取り組みが、彼をして治癒論の第一人者とならしめた。

 

本書には、難しい医学用語も出てきます。しかし、「治癒の顔」と称して、色んな症例とその治癒に至った方法が紹介されているので、さほど戸惑うことなく読み進めることができます。

 

三部構成になっていて、第一部が治癒系論であるとすれば、第二部はその具体的なはたらかせ方、だと言えるでしょう。治癒系を阻害するもの、治癒が起こりやすい食生活、治癒力を高める生薬、など。

 

そして第三部は、もし病気になったらどうしたらいいか。患者の心得のようなものや、色んな代替療法などが紹介されています。かなり実用書としての側面もあるんですね。

 

刊行されて20年後に、日本という国でこれを読んだ私には、割とすんなりと受け入れられる内容でした。元々東洋医学という伝統を少しは知っているから、かもしれません。しかし、おそらくワイル博士が切り開いた世界は、いわゆる現代医学の牙城に大きな衝撃を与えたことでしょう。

 

博士は、西洋医学を否定しているわけではなく、うまく棲み分けるべき、と言っているように思います。それぞれの向き不向きを意識せよ、と。実際に向き不向きのリストも掲載されていますし、本書の最終章はこんな題です、「社会への処方箋」。

 

いまや世界は健康ブームの真っ只中、という感じですが、健康とは「治癒系がよくはたらいていること」だとも言えそうです。元気と病気について、少し目線の次元をたかめてくれる、そんな一冊だと感じました。


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