化粧と養生

2016-02-02

〈木の家の有り難みは、素材が柔らかく暖かいということですが、そのぶん現場では扱いに気を使っているんです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は午後から、宝塚市で進んでいる木の家の新築現場にて、お客さまと設計スタッフ平野とともに、打合せをしていました。北風が冷たかったですが、でも大工さんの手によって段々と出来ていくさまを見るのは、とても楽しいです。

 

骨組みが組み上がって上棟式も終わり、今日は現場を見ながら、これからの室内の見え方や寸法関係のおさらいの打合せです。いま見えている骨組みが、最終的にはどれだけ見えて、どれだけ壁や天井の中に隠れるのか。図面ではわかりにくい部分ですね。

 

冒頭の写真は、少し早く現場に着いて、足場に登って建物の外廻りをチェックしていた時のものです。大屋根の深い軒がいい感じです。雨を防ぎ、夏の日差しを防いでくれる軒は、日本に建つ家にはなくてはならない、必須のもの。

 

ふと気づくと、向こう側の段ボール箱に、緑色の棒のようなものがいくつも突っ込んでありますね。よく見ると手前の柱に、同じ色が。あ、室内の奥の梁にも同じものがくっついています。これは、木の家の骨組みが傷つくのを防ぐカバー材なんです。

 

私たちはこれを「養生カバー」と呼びます。「柱養生」とも。養生という言葉、一般的には「病気をなおすよう心がける」というような意味で使われますが、同じ言葉が、建築業界では「破損防止のための手当」という意味で使われていますね。

 

おそらく建築業界に限らず、ものづくりの業界では広く使われている言葉ではないかと思いますが、その中でも、「木」を使ったものづくりの世界では、とても大切な概念だと言えるでしょう。木とは柔らかく、傷つきやすいものですから。

 

現場では、どうしても長い材料、大きな材料を動かすことになりますので、そうしたモノが当たって傷つくことのないよう、養生をするというわけ。つくった時の状態でお引渡しが出来るよう、こうした専用の部材も作られているんですね。

 

養生という言葉から思い出しました、もうひとつ専門用語を。それは、養生される方の木のことを呼ぶ名前です。木の家の業界では、出来上がってもそのまま見えることを「化粧」と呼ぶんです。女性のメイクと同じ言葉で。

 

単に「あらわし」とも呼びますが、特に年季の入った大工さんなどは、「この梁、化粧やろ」と言いますね。ケに強いアクセントのある言い方です。なぜなのかは私にも不明ですが、あらわして使う木材には大工さんが丁寧に鉋をかけるので、そのことをお化粧に例えているのではないか、と思います。ほんまかなあ(笑)?

 

今日はお客さまと、どの材を化粧として見せるのか、そういう打合せなのです。元々図面上で決めてあり、そのとおりに材も加工されてきていますが、変更可能なところはそうすべきですから。

 

果たして、少し変更があり、化粧にする骨組みが増えました。そう見えてくるなら壁の仕上げも、あるいは照明器具もと、連動して変わるいろんなことをその場で併せて検討する、充実した時間でした。

 

化粧になる木が増えたということは、また養生すべきものが増えたということ。養生カバーが入っていた段ボールも、次に来た時にはおそらく空っぽになっていることでしょうね。


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