時代をこえて

2016-02-07

〈気になっていたお店で、空間とモノの響き合いを体感してきました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は、午後からの予定が急にキャンセルとなり、ぽかっと時間が空いてしまいました。日曜日にこういうことは珍しい。どっか出かけようかな、と思いましたが、土日の人混みの中へ行くのは嫌だしなあ。

 

と、そこではたと閃きました。行きたいけど土日しか空いていないお店があったんだった。ということで早速、私の地元、堺まで。行き先は、収納の巣の宇野さんから教えてもらった「藤谷商店」さんです。

 

天王寺からチンチン電車に揺られて、綾之町まで。このあたりは、旧鉄砲鍛冶屋敷などの歴史ある建物が遺る地域。そして藤谷商店さんの建物もそのひとつなんです。

 

冒頭の写真はその内部。ここは店主藤谷さんのご生家で、同店のFacebookページで来訪者さんの投稿を見ると、築120年とありました。その空間を活かして、アンティークやヴィンテージから新作まで、選びぬかれた家具、うつわなどを扱ってらっしゃいます。

 

店に入るなり、先客がいらしたので声には出しませんでしたが、心のなかで「うおっ」と叫びました(笑)。この重厚感、この風合い。歴史を重ねた木の家に宿った力が迫ってくるようです。力強い梁、幅一尺五寸ほどもある床板も。

 

そしてその空間のもち味と、そこに並べられた「名作」と呼ばれる椅子たちが、なんとも言えないバランスで響き合っているのを感じました。まさに、心地よく拮抗している。

 

椅子などの家具やうつわを見せるなら、背景はギャラリー的に白いものが良いという考え方もあるでしょう。しかしこのように、力のある木の空間で力のあるモノを並べることは、その力そのものを、より鮮やかに魅せる。そう感じさせてくれます。

 

そして今は、企画展「内田邦夫展」が開催中でした。画面左下の白い器、黒い器がそうです。日本のクラフト運動のパイオニア、私はあまり作品を知りませんでしたが、そのかたちや質感がまた、この空間にぴたりとはまっているんです。

 

それは全て、店主藤谷さんのセンスのなせる業でしょう。はじめましてのご挨拶をし、宇野さんのご紹介であること、木の家を志事にしていることもお伝えしました。そうしたら藤谷さんがお尋ねになったんです。「ご自身のお住いも?」と。

 

そこで、ふっと私の口をついて出た言葉は、こうでした。「はい、あの、100年経ったらこうなるかな、という家に住んでいます。」

 

歴史を重ね、時代を超えて受け継がれた木の空間と、同じく時代を超えて愛される椅子たち、器たちが、深く響き合っている。今日、そのことにとても感動しました。消費されず永く生き続けるものたちの力に。

 

私の住む木の家は、築11年。しかし、100年住めるようにつくっているつもりです。100年経ったその時、もちろん私はおりませんが、木の空間が生き続け、時代を超えたものの力をもって、誰かの心に響いてくれるだろうか。

 

藤谷商店さんをお暇した後は、近くにある同じく古い木の空間「茶寮 つぼ市」でお抹茶をいただきながら、時代をこえた共鳴の素晴らしさを反芻するひとときを。

 

そしてまた、己の志事にも常にその視点をもっていなければ。そんな想いを新たにしたことでした。


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