使いみち探し

2016-02-15

〈元の家の一部を、新しい家の一部として使うことには、記憶をつなぐという意義があります。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は、お客さまとKJWORKSスタッフ平野とで、木の家づくりの詳細な打合せをみっちりとおこなっておりました。実施設計では、細かい部分まで詰める打合せを、時間をかけて何度もおこなっていきます。

 

今回の打合せは、造付けの家具について、そして外構工事についてでした。家具については、せっかく造付けでつくるのだから、特に細かいところの寸法や見え方まで、色々と考えるべきことがありますね。

 

そして、外構工事の話をしている時、お客さまからあるお話がありました。このお宅は同じ敷地での建替えの計画なのですが、ご両親から「今の門扉を何かに使えないか」とのご要望があったそうです。

 

確かにその門扉は、鋳物のアイアン製で、かなり重厚感と存在感のあるもの。永く暮らしておられた前の家の想い出として、何かを残して再利用するというのは、とても良いことですね。ただ今回は、その存在感から、門扉として再利用よりも何か別の用途に、ということになりそう。

 

その場でよい方法がご提示できなかったので、この件は私たちの宿題になりました。そして、この話をしながら、私の頭にはある家づくりの事例が頭に浮かんでいたんです。それが、冒頭の写真の木想家です。

 

この写真はこちらのお宅の玄関です。入った正面に、床の間のような飾れる場所があって、そこに縦長の窓がついています。そこに嵌っているモノ、見えますでしょうか。何やら、幾何学文様みたいなもの。

 

これ、木でできた細工物なんです。そして実はこれ、お客さまが前に住んでいたお家にあったという「欄間」なんです。いや、なんと素敵でモダンな欄間でしょうか。はずしてずっと持っておられたというのも納得ですね。

 

そして、それを新しい家で再利用したい、とのお話を受けて、KJWORKSが考えたのが、この使い途でした。横長の欄間であったものを、あえて縦にして使い、こうした飾り棚の一部の窓にしたんです。

 

もちろん、そうした幾何学的な造形であったからこそ、それを縦にして使おうというアイデアになったし、縦に使ったからこそ、元が欄間であったという経歴から解き放たれた新しいデザインとして蘇った、とも言えそうですね。

 

この欄間に限らず、建替えの木の家の場合に、前の家のある部材を新しい家の一部に使う、ということは時々あります。そうすることで、前の家の記憶が新しい家でも生き続ける、ということになれば、私たちも嬉しいですから。

 

そんな再利用の工夫の中に、この欄間のように「元とは違う使い途」が入ってくると、さらに楽しい。この事例の他にも、ケヤキのぶっとい大黒柱をスライスして、ダイニングテーブルの天板にしたりしたこともありましたね。

 

さあ、そして今回は、屋外で存在感をしめす鋳物の門扉に、どのような再利用の用途が見つかるでしょうか。なかなかの難問ではありますが、またそれを考えるのも家づくりの愉しみのひとつです。

 

新しい家を細かく詰めていくことと並行して、今ある家の記憶を遺す、使い途さがしの旅の始まり。まだ見えないその着地点めざして、しばし頭脳と感性をフル回転です。


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