建築屋の椅子

2016-02-25

〈KJWORKS本社の会議室に置いてあるベンチ。見た目より、座り心地もいいんですよ。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は午後から、KJWORKS本社「くらしの杜」へ。弊社の家づくりの新しい取り組み、その設計仕様を決めるミーティングだったんです。私も自分で間取りをつくってお客さまにご提案しますので、参加して自分なりの意見を出してきました。

 

冒頭の写真は、そのミーティングをしていた「くらしの杜」で一番大きな部屋。社内会議やそば打ち教室など、多目的に使われるスペースです。そして年に四回、ここは落語会の会場にもなるんですよ。

 

そしてそこに置かれているのは、赤松集成材でつくった「木のベンチ」です。今日は机が会議用の形になっていたので、ベンチは壁際に寄せられていましたが、落語会の時などは、高座に向かってこのベンチが並ぶ形になります。

 

木の家づくりの志事をしていて、そこに「椅子」の果たす役割はとても大きいと常に感じています。現代の暮らしで日本人が椅子に座っている時間は、とても長い。私の事務所「木の空間」にも違った木の椅子が一脚ずつ置かれていますが、それは座り比べてもらうためです。

 

そして、この椅子というのはとても微妙なものなので、つくるのは専門の家具屋さんになります。その曲線的な加工や布地張りの技術は、やはり建築とは少し違う分野で、そこには深遠な世界がありますね。

 

それは私もよくわかった上で、そんな椅子の中で私たち建築家がつくることができるものと言えば、それは写真のような「ベンチ」ではないか。そう私は思っています。横に長い、何人もが座ることの出来る椅子。

 

例えばダイニングテーブルを壁に寄せて設置したい時、壁側の椅子が造り付けのベンチになっているほうが、テーブルの位置がすっきり決まる。そうして建築でつくるベンチはいくらでも長くでき、間取りに合わせて決められます。

 

この写真のベンチは造り付けでなく置き家具で、家づくりでよく使う素材でつくられており、よく周囲に馴染んでいますね。落語会ではこの上に座布団を置いて座りますが、背もたれの角度もよくて、思ったよりずっと座りやすい。この辺りは、設計者である弊社代表・福井の「流石」というところでしょうか。

 

いわゆる「デザインと座り心地」を追求する家具屋さんの木の椅子とはまたちょっと違った魅力が、ベンチにはあると思うんです。内部を収納にしたり、座面を畳にしてみたり、色んな「家の一部」としての工夫が出来るのが、面白いですね。

 

今日、久しぶりにこのベンチに座って、そういえば最近プランでベンチを描いていないなあ、と思った次第。これはいけません。その家にしかない「建築屋の椅子」、その魅力をもっとご提案していかねば。


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