時間と豊かさ

2016-02-26

〈15年を過ぎて、色々傷んできたエクステリア。でも、暮らしに貢献してきた素晴らしいモノたちです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は朝から、西宮の山手の方にお住まいのお客さま宅へご訪問してきました。「山口さん、外の階段の柵がそろそろ危ないから、見に来て。」とのご連絡を受けて、まずは早々に現状確認で。

 

高台にあるので、玄関に至るまでにだいぶ階段があります。隣地との間も高低差がかなりあり、そこに落下防止の柵が付いています。それが全て木製で、流石に年月でだいぶ傷んできているんですね。

 

冒頭の写真は、その柵とは違って、このお宅の門扉から、玄関に至るアプローチです。門扉も木製、アプローチに敷き詰められているのは、枕木ですね。門扉はまだまだ大丈夫ですが、枕木は柵と同様、だいぶ傷んでいます。

 

柵をチェックし、こうした他の「外部の木製部分」についてもひととおり現状確認をさせていただきました。例えば花壇の周りも、煉瓦を積むとかではなく、太い木材を縦に地面に差し込んでいたり、とことん木製エクステリアに徹しておられます。

 

屋外の木部は、特にこうしたエクステリアで「地面」に接するところから、傷んでいきます。空中にあって濡れても乾くデッキ材などよりも、地面の湿気に触れている木材は、やはり腐朽菌の活動が早いので、脆くなるのがずっと早いです。

 

と、ここまでの話を読んで、皆さんはどう感じられたでしょうか。「なんでそんなすぐ傷むものを屋外に使うんだろう?」と思われた方も、あるいはおられるかもしれませんね。でも、私の想いは、ちょっと違います。

 

この木の家、お引渡しをしてから、15年と半年です。その間、このお客さまは、自分の大好きな木で出来た花壇の横を通り、木の門扉を開け、枕木の上を踏んで、家に帰っておられたんです。

 

それらの材料は、確かに15年経って傷み、取替を余儀なくされたものもある。でも、その15年間、お客さまはここに使われた大好きな木の素材たちと共に暮らしておられた。その日々に感じておられたものこそが、「豊かな暮らし」ではないか。私はそう想うんです。

 

KJWORKSのお客さまにはあまりおられませんが、家づくりで「メンテナンスフリー」とか、「後から手間の掛からないように」ということの優先順位が非常に高い方が、数多あるようにお聞きします。

 

それは何も悪いことではありません。でも、私たちはそうではなくて、こう言いたいんです。家とは、少しずつ手を入れながら、家族とともに永く一緒に成長していくものですよ、と。

 

そこでの毎日、なんでもない日々の時間を豊かに暮らせる家を、一緒につくりましょう、と。

 

そんな想いで、この門扉やアプローチ、花壇の周りでも同様に傷んできている木材を見る時、否定的な感情など起ころうはずもありません。私の頭に浮かぶのは、「おつかれさま」という言葉です。

 

15年が長いのか、短いのか、それは人それぞれでしょう。でも私とこのお宅のお客さまは、そうした「おつかれさま」の想いを共有することができています。そのことが、今日はとても嬉しかった。

 

私たちは、お客さまの家づくりのお手伝いをし、お客さまが夢見た「暮らしの実現」を目指している工務店です。でも、家づくりは長くても一年。そこからの「家守り」の時間のほうが、ずっとずっと永いんですね。

 

その時間の中で、日々の豊かな暮らしを積み重ねておられるお客さまとお会いすることは、つくり手の大きな歓びです。そして、このようなメンテナンスを続けていくこともまた、「暮らしの豊かさ」を守ることに他なりません。

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