異質の愉しさ

2016-03-08

〈間取りの中で「階段をどうする」は、とても重要度の高いファクターです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

ここ何日か、ある新しい家づくりのプラン(間取り)を考え続けています。敷地面積に比べてとても厳しい法規制があって、その解決に時間がかかっているのがひとつ。そしてもうひとつは、階段のつくり方が決まらなくて。

 

家の間取りを考える時、階段をどこに、どのようにつくるかは、その間取りの方向性を左右する非常に大きなポイント。私にとっては最重要事項と言ってもいいくらいです。と言うのは、階段は家の中で、他とは違う異質な場所だから。

 

それにはいくつかの、互いに関連した意味があります。そしてその根本にあるのは、「階をまたいで上下移動する場所である」ということだと言えるでしょう。

 

上下移動をする、ということは、そこは2階の床に穴が空いていないといけません。そしてそれは、そこが「吹抜け」であることを意味します。吹抜けからは光が落ちてくる、風や気流が動いている、そして上下階の人のコミュニケーションの場所でもある。

 

階段が吹抜けであることを意識して間取りを考えるかそうでないか、それは出来上がる空間の質を大きく変えると、私は思っています。吹抜けの中を階段が上がる場合のみならず、階段だけの穴でもその吹抜け効果はありますから、それを利用しない手はないですよね。

 

今日の冒頭の写真は、ある木想家の事例。ここにも階段が異質であるがゆえの面白さが色々写っています。もうひとつの異質さは、上下移動があるがゆえに、階段の下には中途半端な高さの空間が生まれるということ。

 

この階段は踊り場があり、その下が収納になっていますね。吹抜けでありながら、下に収納をつくることもできる。また、収納にせずにPCカウンターをつくりつけたり、階段の下ならではの空間利用も楽しめたりします。

 

この写真を見ていてさらに思うのは、きっとこの家のお子さんは、この階段に座るだろうな、ということです。こっち向いて座って、階段で本を読んでいたりしそう。小さいお子さんなら、この段と段の間に足を入れて、机と椅子にしたりも。それはなんとも微笑ましい光景ですね。

 

階段は、部屋から部屋へ移動するだけの場所ではないんです。上下移動、吹抜け、段差、階段下の「三角空間」、それがどのように空間に作用するか、その異質さを知り、それを意識して配置しないと。

 

どの家でも、そういう効果を間取りに組み込みたいと思っていますから、階段のとり方でいつも悩みます。もちろん、階段の位置は家の構造にも大きく関係しますので、それもまた並行しての検討ですが、一番考えるのは、階段にどのように人がいるか、です。

 

そのシーンが頭のなかで見えた時、その木の家の階段はその場所に「着地」した、そう感じられます。それは「間取り屋」にとって、とてもうれしい瞬間なんですよ。

 

このブログに、多分いままで何度もこの階段の話を書いた、そんな気がします。そしてそれはいつも、階段の間取りに行き詰まっている時のような、そんな気もします。

 

それほどに重要なことだから、でもありますが、こうして記事として書きながら、自分の中でそれを再度おさらいしているのかもしれませんね。お客さまにも、階段がもつ異質であるがゆえの愉しさを、好きになってほしいですから。


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