声の記憶

2014-04-16

〈少年時代の自分の一部とも言えるキャラクターは、その声も素晴らしい想い出です。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日はこのブログには滅多にないこと、アニメーションのお話です。それも懐かしのTVアニメ。冒頭の写真を見れば、私と近い世代の方はみな、ご存知ですよね。そう、「ハクション大魔王」です。

 

声優の大平透さんが亡くなられたと、昨日知りました。日本の「声優」という志事の草分けである大先輩で、ナレーション、洋画の吹き替え、そして色んな役を演じ分けたアニメーションの声と、まさに「声のエンターテイナー」と言える方でした。

 

そんな大平透さんの声は、誰もが一度は耳にしているはず。「笑ゥせぇるすまん」の喪黒福造もそうですが、私にとっては大平さんの声は、「ハクション大魔王」の魔王の声。それ以外ないというくらい、完全に映像と声がセットで脳裏に刻みつけられています。

 

今、私はテレビに縁がありませんが、小さい頃はすごいテレビっ子だったんです。そして、テレビにかじりついて観ていた頃、私の好きなアニメ番組は「タツノコプロ」による作品ばかりでした。

 

「マッハGOGOGO」、「紅三四郎」、「いなかっぺ大将」、「みなしごハッチ」、「ガッチャマン」、「キャシャーン」、「てんとう虫の歌」、そして「タイムボカン」と、数多ある作品群のなかでも、この「ハクション大魔王」は最も強烈な印象を私に残しています。

 

放送は1969~70年ですから、1967年生まれの私はおそらく、再放送を見ていたのでしょうね。今でも、オープニングテーマ、エンディングテーマをちゃんと記憶していますし、登場人物の台詞もよく憶えています。

 

カンちゃんがくしゃみをすると壺の中から現れる、ハクション大魔王。その声は、非常にユーモラスなその姿とその行動に、まさにジャストマッチでした。それが大平透さんという方の声だと知ったのはずっと後。そして、タツノコプロのほぼ全ての作品に登場されていたことも。

 

私が思うに、他人のビジュアルとその「声」は、一体のものとして人の記憶の引出に納められているのでしょう。人を想い出す時、その声も一緒に想い出す。特に、個性的な声の人の場合は、映像が薄れても、声の方を憶えていたりしませんか?

 

皆さんがどうなのかわかりませんが、私はアニメのキャラクターにも同じような感覚をもっています。声が変わることは、そのキャラクターを失うも同然、というような。だいぶ人間と同一視している感じですね。

 

例えば、山田康雄さんがお亡くなりになってから、もうルパン三世の新作を観ようとは思わない。栗田貫一さんには何の恨みもありませんが、そういう感覚なんです。そしてもう、サザエさんも観ることはないと思います。

 

今回、大平さんの訃報に接した時も、もう大魔王はいないんだ、そんな風に感じました。映像の世界の住人ですから、また再生して観ればいいだけのことなんですが、やはり多感な少年期に刷り込まれたものは、自分のなかに居続ける大切なものなのでしょうね。

 

声優という志事は、色んな世代の、たくさんの人々の中に、「声の記憶」という痕跡を遺します。そして幼少期の想い出と共に、いつも人の頭のなかに音として蘇ることが出来る。ご本人を喪った時に言うのはおかしいですが、大平さんはとても素晴らしい志事をしてらしたと想います。

 

現に、こうして書いている今も、あの大魔王の声が私の頭のなかにずっと聞こえていますから。

「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」

 

多くの「子どもだった」大人たちの想い出となられた大平透さんのご冥福を、心よりお祈りいたします。


「声の記憶」への2件のフィードバック

  1. Facebookからまいりました。
    私は30年以上前に、大平透さんが東京と大阪に設立された「大平透声優学校」で直接大平さんから指導を受けた者です。
    今思えば、本当に贅沢な授業を受けさせていただいておりました。
    「いい女になりたかったら、いいお母さんになりたかったら、きれいな日本語を話しなさい」
    声優学校の入学の時の大平さんの言葉です。
    今、娘は28歳。子供の頃にきれいな日本語で絵本を読み聞かせられていたので、何の苦もなく鼻濁音、無声音など、アナウンサーに必要な発音ができます。今になって、大平さんの偉大さを思い知っております。
    そんな大平透さんも、86歳で天に召されました。あちらでも、素敵な声で回りの皆様のハートをわしづかみにしていただきたいです。

    1. ひとんちゃんさん、コメントありがとうございます。
      大平透さん直々の教え子の方に読んでいただいて、とても嬉しいです。

      「きれいな日本語をはなしなさい」のくだり、いいですね。私も日本語が大好きで、美しい大和言葉をちゃんと使って、それが子どもの世代に失われることのないように、といつも思っています。

      人は親の声の記憶、話し方の記憶を自分に取り込んで大きくなるんですね。とても素敵なお話をありがとうございます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です