つかいつつつける

2016-05-08

〈建具職人さんのかっこいい雄姿。プチリフォームならではの、使いながらの工事です。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

昨日は本のご紹介を書きましたが、午前中、夙川での工事に立ち会っていました。4月のはじめにご依頼いただいた「夙川・森のほいくえん」さんの入口建具に、鍵をつける工事です。

 

このブログにも「使い勝手の鍵」と題して書きましたが、元々鍵の付いていなかった入口の引戸。ナラ無垢材の框(かまち)組みで、上部には飾りガラス、下部には色とりどりの木を使った装飾入り。とても素敵な建具です。

 

下見をさせていただき、「なんとか付けられるものを探します」とお返事をしたものの、この見た目を維持しつつ、この厚みの中に錠前をうまく仕込むのは、かなり難しいと感じました。そしてその検討に、一ヶ月以上かかったという次第。

 

そして私なりに対応策を導き出して、ご提案をしました。錠前を仕込むと必ず「彫り込みの引手」部分で傷がつき、それは寸法から考えて不可避である。そこで諦めるのでなく、ならばそれ前提で、その傷を見せないような工夫をしよう、という提案です。

 

その工夫とは、その「彫り込み引手」を全て覆い隠してしまう「出っ張り引手」を付ける、という方法。傷がつくのを覚悟の上で、そのすべてを框と同じナラの無垢材でカバーし、最初からそうなっていたように見せる。それしかない、と感じました。

 

その提案を受け入れていただき、今回の工事とあいなったのでした。工事は二段階。まず建具職人さんが、いまの建具に側面小口から穴を開け、錠前の金具一式を仕込みます。そして次に大工さんが、その位置を前提にして、ナラの引手を取り付けるという工事。

 

保育園であり、しかもその入口ですから、工事が可能な時間も限られています。日曜日はお休みですし、平日は朝夕は出入りが激しい、お昼間は園児のお昼寝があるといった感じで、まとまった工事時間が確保しにくいんですね。

 

しかし、土曜日は比較的子どもさんも少ない、ということで、その午前中を狙うことに。おそらく錠前設置までで午前中いっぱいかかり、連続では出来ない、という予想もあって、今回は工事を2回に分けるということになりました。

 

「そんなの、建具をはずして他所で加工すればいいやん」というご意見もあるかと思います。しかし、既に設置されている建具を加工するのには、その建具が付いている枠、そして金物の状況をすべて照らし合わせながらおこなう必要がある。新たに建具をつくるより、ずっと難しいんです。

 

冒頭の写真は、いつもお願いしている瀬川さんが、この建具を「ついたまま」加工しているところ。厚み35ミリの建具、その厚みの中を刳り抜くという、かなり精度が求められる志事です。

 

しかし、建具職人さんですから、これはいつもの作業。ドリルが真っすぐ入っていくためのガイドを装着し、建具を締め付けながら小口に直角に孔を彫っていくんですよ。もちろん私も、この写真を撮る時以外は、建具を押さえたりしてお手伝いしました。

 

建具の厚みを掘る、というこの難しい作業は、ですからこの建具をはずしてしまっては、逆に支えることができないので、現場では加工できない、ということになるんです。吊引戸だし、建具が付いたままのほうが固定に近い状態をつくりだすことができるんですね。

 

こうした工事も「プチリフォーム」のひとつだと思いますが、プチリフォームであればなおさら、そこは「使っている」状態のはず。それを意識し、工事のタイミングと時間配分、そして施工のやり方、それらをしっかり考えないとうまくいかない。

 

保育園というデリケートな場所で、なおさらそれを感じた志事でした。次の大工さんの工事も引き続き、気をつけて遂行せねば。


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