連なって理を通ず

2016-05-13

〈珍しい樹を見、そしてその名の由来を調べて、少なからず想うところがありました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。昨日に引き続き、明石へ行ってきた時のお話を。めずらしいものを見ることが出来たので、そのことを少し。

 

「生賴範義展」がやっていた明石市立文化博物館は、明石城跡の隣りにあります。城跡はいま「明石公園」として市民に開放されており、帰りはお天気も回復し晴れ間が出てきたこともあって、その中をゆっくり歩いて駅へと向かいました。

 

石垣が遺る公園内は、緑が濃く、雨上がりでさらにその色合いが美しく感じられ、歩くのが心地いい。こんな感じです。

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そしてその中に、冒頭の写真の樹があったんです。「連理のクスノキ」と書かれた立て看板と共に。

 

「連理木(れんりぼく、れんりぎ)」という言葉は知っていますが、実物を見たことは私も数えるほどしかありません。おわかりになるでしょうか、画面中央下で、樹の枝が「リング」になっているのを。連理木とはこういう樹のこと。なかなか珍しいものですね。そして、この連理木は縁起がいいものとされているんですよ。

 

この立て看板にはこうありました。「ニ本の枝が重なりあい木目が通じあって一体になったようすを“連理”といい、夫婦や男女の深く睦まじい契りのたとえで、吉兆とされています。」

 

私もそこまではなんとなく知っていましたが、ではなぜ「連理」というのか、あるいはなぜそういうものの例えになっているのかは知らないので、戻ってから少し調べてみました。樹のことは、やはり気になるのです。そうしたら、ウィキペディアの記載はこう。

 

「連理木(れんりぼく、れんりぎ)とは、2本の樹木の枝、あるいは1本の樹木の一旦分かれた枝が癒着結合したもの。自然界においては少なからず見られるが、一つの枝が他の枝と連なって理(木目)が通じた様が吉兆とされ、『縁結び』『夫婦和合』などの象徴として信仰の対象ともなっている。」

 

なるほど、連なって理が通じる、の意ですね。現在でも樹木内部での立体的な細胞の配列のことを「木理(もくり)」と言うので、理とはおそらくそのことだと思われます。

 

では、なぜ連理の木は夫婦和合の象徴となったか。これも調べるとすぐにわかりました。それは中国の漢詩からきたものでした。9世紀はじめ、白居易(白楽天)の作『長恨歌(ちょうごんか)』に以下のような一行があるそうです。

 

在天願作比翼鳥、在地願爲連理枝

(天に在りては願わくは比翼の鳥となり、地に在りては願わくは連理の枝とならん)

 

この歌は唐代の玄宗皇帝と楊貴妃のエピソードを歌ったものだそうで、この一行は、2人が「永遠の愛を誓い合った思い出の言葉だった」、とのこと。

 

比翼の鳥とは、空想上の動物。雌雄それぞれが目と翼を一つずつもっていて、ニ羽が常に一体となって飛ぶといいます。この鳥もまた、この漢詩から「夫婦和合」のたとえとして使われているのだとか。

 

そして「連理木」も同様。しかし、これほど昔からある言葉なんですね。連なって理を通ず、なんだか夫婦に限らず、人間同士の関わりの肝を表しているようにも、私には思えたりしました。

 

たまたま行った場所での、思わぬ樹との出会いから、そうした歴史ある良い言葉、故事からの由来も識ることができた。根拠はありませんが、こういう出来事には何らかの理由がある。最近の私は、そういうことを割りと素直に信じられるようになっているのであります。


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