ゆらぎを選ぶ

2016-05-15

〈実際に張られた色んな床材を体感した上で、いよいよ使う無垢板を決める時がきましたよ。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

先週末のことになりますが、KJWORKS阪神の事務所で、お客さまと家づくりの打合せをさせていただきました。その打合せの中で、もうそろそろ決めないと、というタイミングになってきたのが、床板の種類です。

 

家づくりの打合せの中でも非常に大切な「床板決め」。やはりどの樹種のどんな板材を使うかで、家の雰囲気が大きく違ってきますから。お客さまもそれをよくわかってくださっていて、単に板のサンプルだけでなく、今までに色んな「実際の床」を見、体感しておられます。

 

それらの経験をふまえて、さあ、そろそろ決めましょうか、ということですね。このKJWORKS阪神「木の空間」の床材であるブラックチェリーも候補ということで、ここで選ぶのは理に適っている、というわけ。

 

冒頭の写真、いくつかの広葉樹の板を床の上に並べてみた様子です。ブラックチェリー、ナラが2種類、そして一番白いのは、カバの床板材。もちろんすべて無垢の板です。KJWORKSでは全てそうですから。

 

お客さまはKJWORKS本社「くらしの杜」にも足をお運びくださっています。なので、ナラの床が張られたらどんな感じ、カバの床が張られたらどんな感じという、見た目と足ざわりも体感済み。

 

それをふまえての最後の比較検討、という感じの時間でしたが、私がその際にお客さまにもう一度申し上げたことがあります。それは「広葉樹の板は特に、色の濃淡、木目などにかなりのばらつきがあります」ということです。

 

この「木の空間」の床に張られているブラックチェリーも、一枚一枚を比較して見ていくと、本当にすごくばらつきがあります。板ごとの違いもありますし、一枚の板の中で白いところと赤いところがあるものも多い。

 

そして、張り方も「乱尺」と言って、板の長さもまちまちで、それをランダムに張っていくんです。ですから場所によって、実はかなり色の構成が違っている。でも、そう注意して見なければ、そうとはわかりません。

 

おそらく人間の眼は、こうした床面を見る時、全体をぼんやりと把握しているのでしょうね。ですからあえて細部に目をやるまでは、その差が見えてこない。そしてぼんやり感じられるその不均一さが、むしろ自然で心地よく見えるのだと思います。

 

その、プリントや突板でない無垢の木の板だからこその個性。そして樹種によっての個性。生きているものだからの個性は、別の言い方をすれば「ゆらぎ」でしょう。常に均一なものはなく、樹によって、場所によって、そして時間によって、不確定な要素が増え、その結果はゆらいでいく。

 

極端に言えば、木を愛するとは、まさにそのゆらぎを愛することではないでしょうか。私たちはお客さまによく「生きてますから」というご説明の言葉を使いますが、そこでお伝えしたいのは、そうした「ゆらぎ」こそが、生物である樹木で家や家具をつくることそのものなんです、ということ。

 

ですから今回の床選びでも、それぞれの樹種の個性に加え、樹種による「ゆらぎ方の幅」もポイントになります。ブラックチェリーほどではないがナラの板にもばらつきはあること、逆にカバの板にはあまり色合いのばらつきは少ないということもご説明をしました。

 

そしておそらく、木の空間と同じブラックチェリーの板が選ばれることになりそうです。そうしたところまでを話し合い、そして実際に体感を重ねてみての決定ですから、きっと上手くいくでしょう。

 

「納得の家づくり」とは、そうした自然素材の個性を知りつつ選択に手間暇を掛けることで、徐々に近づいていくべき高みなんだなあ、と想う次第です。


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