江戸のみどり

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〈驚くほどに広い、都心のオアシスたち。その元々の使われ方が東京ならではと想うのです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日はお江戸の二日目。とても都心とは思えない緑をたくさん眼にし、その息吹を吸い込んできましたので、今日はそのことを、写真多めでお話します。

 

朝一番から、文京区の「ホテル椿山荘東京」へ。そこで親戚と会う約束があったんです。江戸川橋駅から神田川に沿って、椿山荘へと向かう遊歩道も、緑に覆われてとても心地いい道でした。

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そして椿山荘に着いたら、そこにも広大な庭園が。時間があったので、しばらくそこでの静かなひとときに浸っていたんです。

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こんな感じで、京都の山の中にでも入ってきたかのよう。冒頭の写真も、その庭園の中に流れる川なんですよ。石仏や石塔などもあちこちにあったりして、都心のホテルの庭だとはちょっと信じられないほどの自然豊かな庭園でした。

 

そして本来の用事を済ませた後は、そのすぐ近くにある「永青文庫」へ立ち寄りました。『千利休と武将茶人』展をやっているというので、目の保養に。

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永青文庫は、旧熊本藩主である細川家伝来の美術品、歴史資料を収蔵展示している美術館です。日本・東洋の古美術を中心に貴重なコレクションをもつ、しかしあまり知られていない美術館。実は私も今回初めての訪問でしたが、その茶道具、特に茶入れの展示の素晴らしさにもう目が眩みました。

 

その永青文庫のすぐ横には「新江戸川公園」というところがあって、そこも池を中心に広々として、とても気持ちのいいところ。お弁当を食べたくなるような場所で、きっと区民の皆さんの憩いの場所なのでしょう。

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以前に行った青山「根津美術館」の庭園も素晴らしかったなあ、そう思い出しながらお庭を見ていました。東京にはこうした「都心にある広大な庭園」がいくつもあり、それは関西人には馴染みのない風景です。それもそのはず、こうした都心のオアシスは、大名の江戸藩邸の跡地であることが多いからなんですね。

 

今日の椿山荘の敷地は、上総国久留里藩黒田家の下屋敷だったそうです。そして永青文庫と新江戸川公園は、これは皆さんお分かりかと思いますが、肥後国熊本藩細川家の下屋敷跡です。他にも新宿御苑や旧芝離宮恩賜庭園、清澄庭園など、都の重要な庭園として残るものも多いようです。

 

ちなみに根津美術館は、河内国丹南藩高木家の下屋敷跡。そこを根津嘉一郎が取得して造園をやり直したのだそうです。河内国丹南藩と言えば、私が祖父母の墓参りに行く来迎寺さんは藩主高木家の菩提寺でもあって、なんだかご縁を感じたものでした。

 

他にも、東京大学の本郷キャンパスが加賀藩前田家の上屋敷だった、というのはよく知られた話ですね。あの「赤門」がその門だった、というのも。あるいは、明治神宮は近江国彦根藩井伊家の下屋敷だった、とか。wikipediaで「江戸藩邸」を見ると、本当にたくさん載っていますよ。

 

江戸の市中のうち、その三分の一は大名屋敷、旗本屋敷等の武家屋敷で占められていたといいます。明治政府の接収によって官公庁の敷地になったものも多いですが、こうして往時の緑を今に残しているものも、いくつもあるんですね。

 

ということは、今日私が見たあのお庭、そこにあるあの巨樹は、お大名の方々も眺めていた樹なのかもしれません。大阪人の感覚にはない、藩主の江戸屋敷跡から生まれた、東京ならではの「都心のオアシス」。

 

そんな庭園に佇んで、やっぱり今日もまた、江戸時代の風景に想いを馳せるひとときとなりました。


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