屋根をこえれば

2016-06-03

〈上棟成った木の家から、間取りの際にお話していた絶景を愉しみました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

宝塚の木の家を体感しにお客さまお二人をお連れしていた日、西宮の現場では、大工さん達によって建て方がおこなわれていたんです。その日は行けなかったので、今日は朝から上棟成った家の骨組みを見に行ってきました。

 

この木の家が建ったのは、いわゆる「旗竿地」で、細い路地の奥に家を建てる場所がある、という感じの場所。建て方に登場するレッカー車(クレーン車)が入ることができず、建て方は昔ながらの手上げです。

 

旗竿地の細い部分を行き来してやる手上げ作業の邪魔になってはいけないので、今回は建ち上がってから見に行くことにしていたのでした。そして今日、2階にも上がり、そしてその上にも登ってきましたよ。

 

冒頭の写真が、そのロフト的スペースまで上がって北側の山並みを眺めたところです。お天気も最高、なんという気持ちの良さでしょうか。まだ壁がないので、パノラマのように山々が見えていますね。

 

この写真には少ししか見えていませんが、この木の家の北側には隣家が近接しています。2階からは、その家を避けたところで山への眺望を狙った間取りとなっていますが、もうワンフロア上がると、こうなる。

 

間取りをご一緒している段階で、この眺望を得る話は既に出ていました。お客さまいわく、「屋根の上に上がったら見えるでしょうか」と。しかし、屋根に穴を開けて外に出るのは、雨仕舞も悪いし、何より危険ですね。

 

そしてこのように、屋根を段違いにして、その段差に出来る壁を使って眺望をつかまえる、という案になりました。無論、事前に北側の家の高さを測量して、それに合わせて設計したことは言うまでもありません。

 

先日の宝塚の木の家でも、一番眺めがよい場所を狙って、ルーフバルコニーをつくりました。この家でも、2階では隣家のすき間を狙った窓を。そして隣家の上を狙った、屋根を越えての眺望も。

 

たまたまこの2軒でこういうことをしているのではなくて、どの家でも、その室内環境へと取り込みたいものを決めて、それに向けて家を開くということをやります。それは眺望だけでなく、日照や風のこともあります。

 

この木の家の場合は、北側の家の高さから逆算して考えた時、屋根を越えれば見えるはずの、その絶景を取り込む方法があり得た。それならば、それをやらない手はありませんね。

 

家づくりのキモって、そこではないでしょうか。その敷地にずっと住む上で、その「取り込みたいもの」がどれだけ暮らしに潤いを与えてくれるものか。その価値を知り、その取り込み方に全力を傾けてこそ注文住宅だと、私は思うのです。

 

昨年末から「間取り屋」という志事を始めていますが、その時に最初に拝見したハウスメーカーのプランも、そして今までにKJWORKSで家づくりをしたお客さまから参考に見せてもらった同様のプランも、私に感じさせるものは同じでした。

 

「取り込みたいもの」が、そもそも見えていない。見えていたとしても、それを取り込むために家がどうあるべきかが、わかっていない。失礼な物言いですが、本当にそう思いました。

 

取り込むべきものが見えて、なおかつ取り込むための手法を知っていること。屋根を越えれば見えるのなら、眼が屋根を越える方法をご提案できること。偉そうですが、それがプロですよね。

 

この木の家、実はプランが確定するまでに、紆余曲折を経ました。今日はそんなこともじんわり思い出しつつ、手に入れることが出来たこの絶景を、しばし見つめていた私でした。

 

はい、プロとしての責任を果たせたという喜びを噛み締めながら、です。


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