海へのひきがね

2016-06-09

〈30年前、4年間を近しく過ごした仲間が、木の空間に来てくれました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日はちょっと志事をはなれて、個人的なつぶやきにおつきあいくださいませ。思わぬ来客が、KJWORKS阪神「木の空間」にあったものですから。

 

午後一番の住まい手さん訪問から帰って、プランを検討しているところへ鳴った、事務所の電話。知っている人はほとんど携帯にかけてこられるので、また何かの勧誘か?とか思いながら電話にでたら、「◯◯と申しますが」の声。

 

その名字を聞いたことがあるな、と思うより前に、すぐに誰かわかりました、その声から一瞬で顔が浮かんで。それは大学時代の弓道部の同期。今日は女性二人で、私の事務所を訪ねてくれたのでした。

 

いきなりのことで驚きましたが、いやあ、懐かしい。一人は5年前くらいに一度KJWORKS本社を訪ねてくれてからの再会。もう一人は、おそらく20年以上会っていなかったと思います。

 

電話をかけてくれたのはその20年ぶり?のほうでしたが、でも一瞬でわかった。人の記憶って、面白いものですね。ちょうど事務所に居る時でよかったなあ、なんて語りかけつつ、しばらく同じ弓道部の仲間の想い出話に花が咲きました。

 

実は私の奥さんも同じ弓道部の出身で、三年下です。奥さんの代の人たちと、私は少しつながりがありますが、今日来てくれた二人は、ほとんどない。また、私は工学部建築学科という共通点をもつ先輩後輩ともつながっていますが、彼女たちは同じ弓道部内でも、また違うつながりをもっている。

 

話しているとそれがよくわかります。そして今日何度も私を襲ったのは、自分が忘れ去ってしまっていたことが、自分とは違うつながりをもつ彼女たちの話のある一点から、急激に思い出される、いきなり脳内にイメージと音声で甦る、そんな感覚でした。思えば最初の電話の声も、そのひとつ。

 

人間には、短期記憶と長期記憶とがあるといわれていますね。長期記憶の領域には今まで自分に起こった全てのことが納められ、まるで海のように深く広大で、その表面である海面は全体のほんの一部にすぎない、と。

 

今日、久しく思い出すことのなかった30年前のあの頃のことが、同期の二人との話を引き金に、記憶の海の中から一本釣りするかのように突如映像として現れました。そしてそれは連鎖反応となって、次々に記憶を想起させるのです。一本釣りが地引き網になるように。

 

ここ最近、高校時代の同期たちとFacebook上でまたつながり始めています。その中でもこういうことがある。そして今日は、本当に久しぶりの大学でのクラブの同期生の訪問が、私の記憶の海を波立たせてくれたんですね。その波紋の引き金になるのは、やはり生きた「人」なんだ、そう感じました。

 

最後に今日の写真、あまり見慣れないモノでしょう。これは弓道の「的」です。私が卒業する時、後輩たちが的に寄せ書きをしてくれたもので、私の宝物。中央の「反求諸己」の文字は、東洋史の研究者だった当時の部長、北村秀人先生によるものです。

 

旧交を温める今日の時間から、この的のこともまた思い出した次第。そんな風に地引網の如く海中から次々現れる記憶の波に翻弄され、その後しばらくプランに手がつかなかったこと、ここに告白いたします。

 

でも、たまにはこういう波に浸るのもいいものです、よね。


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