土間ならではの

2016-06-14

〈床が土間であること、それは単にインテリアとしてだけでなく、使い方の自由度をあげる意味もあります。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日も一日、黙々と、新しい木の家の間取りを考える時間でした。なんだかとても面白いかたちにまとまりそうで、ほっと一息。近々お客さまに、ラフな手描きの「間取りのイメージ」でご提出できそうです。

 

間取りが出来てきたその木の家には、大きな土間の倉庫というか、収納部屋があります。今日は、そこを検討しながら私の頭に思い浮かんでいた事例のことを、少しご紹介しましょう。冒頭の写真の部屋がそれ。

 

土間の部屋と言っても色々あって、リビングが土間になっている家も、キッチンが土間になっている家も、そして玄関から裏庭へ「通り土間」が続いている家も、どれもつくったことがあります。

 

でもこの写真の土間の部屋はそのどれとも違って、主に収納として、そして屋外と家の中との「中間領域」として意図され、つくられたもの。それは、この家の住まい手さんのライフスタイルに大きく関わっているんです。

 

まずひとつは、写真にもうつっているように、自転車ですね。お客さまのご趣味で、その格納庫であり、グッズの収納であり、車体調整などの作業場でもある、というわけです。

 

そしてもうひとつは、お客さまの呼び方にならうと「泥部屋」。農作業をしてらっしゃるんです。田畑から帰ってきて、この部屋の外にある水道で作物や長靴の汚れを落とし、この部屋で着替えをする。昔の農家にあった土間のイメージにつながるものがありますね。

 

そして、写真正面左手の入口を入ると、すぐ右がキッチン。とれた野菜はそちらへ。さらに、ちょっと見づらいですが、黄色い自転車のハンドルの上に見えている小さな開口部、ここから汚れた衣類などを放り込むと、向こう側が洗濯場になっていたりします。

 

また、土間の部屋では、造付収納にも工夫が必要です。下が土間なので、床から立っている収納はよろしくない。よく見ると、全ての棚が浮いていますね。うしろの壁面に留めているからです。こうすることで、床の水洗いなどもしやすいというわけ。

 

いわゆる居室の一部が土間になっている、というのも、なかなか雰囲気があってよいものですが、土間という荒っぽい仕上げ、そして荒っぽい行為を許す仕上げには、土間ならではのこうした「外と中の間」としての使い方こそが本来。

 

そしてそこには、日本人が営々と受け継いできた土間での暮らしの記憶が染み付いているように思います。それを今に再生したようなこういう使い方は、私にはとても「ほっとする」空間ですね。

 

さあ、今回のプランにある土間の部屋は、どのような使い方の妙をお客さまにお伝えすることになるでしょうか。自然豊かな場所に建つ家ですので、きっと似合うと思うんです。

 

あ、そうだ、今日のこの写真もご提案の時にもっていこうかな。そんなことを考えながら、間取りを絵にしていきつつある私です。


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