夕陽をおりこむ

2016-06-18

〈のどかな風景のなか、「間取りのイメージ」の打合せをしていました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

昨日は本のご紹介を書きましたが、志事では三田方面へお伺いしておりました。三田市というとすごく遠いところに感じられる方もあるかと思いますが、私がいる芦屋からは車で六甲有料・六甲北有料を使えばすぐ。45分くらいです。

 

KJWORKS本社のある箕面市彩都からでも、中国道を使えば同じくらいで着きます。距離よりも移動時間、という眼で見れば、わりと便利な場所。そこにウッディタウン、フラワータウンという広いニュータウンが広がり、KJWORKSの木想家もその中に5軒ほど建っているんですよ。

 

しかし今回家づくりのご相談をいただいているところは、そのニュータウンを抜けた少し先。JR新三田駅を過ぎると、ニュータウンの眺めが一気にのどかな田園風景へと変わっていきます。

 

冒頭の写真も、そんな感じの景色。とても気持ちがいいですね。こんな眺めが楽しめる場所にある敷地での家づくり、先日お聞きしたご要望を元に、まずはラフな「間取りのイメージ」をご提出してきました。

 

南側に抜けた風景、そして北側にある母屋との間の「中庭」との連続感、一体感。そうした敷地の良さを取り込んでつくった手描きの絵をお見せし、ご説明を。「中庭」になる場所には、紫陽花がたくさん、美しい花を咲かせていました。

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今回は敷地のもち味と、それをよく理解しておられるお客さまの的確な家づくりの方針とが私にもよく伝わったし、ヒアリングの際に「こんなんだったら面白いですね」と大いに盛り上がってので、「間取りのイメージ」もかなり短期間でまとまりました。

 

お客さまにも申し上げたことですが、私はこの最初の「間取りのイメージ」提案が、私という人間をお客さまに見ていただく「面接」だと思っています。自分たちの希望と敷地の特徴を、この人はどう家の間取りにまとめるのか。つくり手の考え方や想いが全てそこに表れると思うからです。

 

幸いなことに、今回のご提案は大きくは正しかったようで、とても喜んでくださいました。私もすらすらと筆が動いて出来た自信作だけに、この瞬間が最高に嬉しいですね。

 

でも実は、色々と話をする中で、今回私が見落としていたことを、お客さまからご指摘いただきました。それは「夕陽が見たい」ということ。冒頭の写真のあの田園風景の中へと沈む夕陽が、特に冬場はとても見事なのだ、と。

 

前回のヒアリングではあまり出なかったその話。でも、私自身があの風景を「いいなあ」と思っていたのにも関わらず、方位から考えて夕陽がそこに沈む、ということを感じ取り、間取りに反映することが出来ていなかった。

 

その失態を大いに反省し、すぐその場で「ではこのように考えたらいかがでしょう?」という、間取りの一部変更案、窓の取り方の案をお話しました。そのことも「お、それいいですね」となってホッと一息。

 

このあたりはやはり経験がものを言ったかもしれません。臨機応変に「ではこうしましょう」というお話が出来るのも、自分でつくった絵を自分で説明しているから。そして、過去の数多のプランが私の頭のなかにあるから、でしょう。

 

そんなことで、最初から出来ていなかったのは反省点ですが、この田園風景に沈みゆく夕陽の眺めを愉しむことも、家づくり計画へと織り込むことができそうです。

 

そう、「間取りのイメージ」とは即ち、叩き台なんですね。建築の素人であるお客さまには、その絵が出てきて初めてわかることもある。私に伝えてなかった希望を思い出すことも、自分の好みに初めて気づくこともある。それらもまた反映しつつ、プランへと進めていくための、素案のようなもの。

 

その素案の「骨格」がしっかりしていれば、そこに色んな要素をさらに織り込んでいっても、味わいが増しこそすれ、崩れることはない。その意味で、今回はその役目を果たし、お客さまの想いをさらに引き出すことができたと言えるでしょう。

 

家づくりの、特にこうした初期の段階は、とにかくお客さまとの想いのキャッチボールです。それを誘発する素案にこそ少々の変更では動じない強いチカラが求められる。今回のご提案でそんなことを想った私でした。


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