逆手にとれたら

2016-06-20

〈窓がはたす機能は色々。それらを分けて立体空間にうまく配置すると、思わぬ効果が生まれます。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

昨日から今日にかけて、今週末にお客さまへご提出するプランの図面づくり、見積書づくりに集中しています。明後日から3日間、旭川へ行きますので、それまでに仕上げておかないと(笑)。

 

この敷地は、南東の方向に前面道路に面しています。そこの並木道が非常に美しく、建物もそちらへ向けて開くかたちにしたいところ。大きな窓を設けて、お庭もつくって、並木道とその向こうの川へと連続していくような家になるべく検討していました。

 

ところが、ちょっと文章で書くのは難しいのですが、道路との段差があるこの敷地、階段とその先のポーチ部分の位置が、先に決まってしまっています。街並みで揃えているため動かすことのできないそれが、建物のど真ん中にあるんです。

 

家の真ん中に玄関、ということになると、いくら間口が広い家でも、窓がとれる場所が少なくなってしまいますね。そうなると、家の奥へと眺めや光を導くことが出来ない。今回はこれを解決するのが最大のポイントでした。

 

そして今日の冒頭の写真は、実は今回に近い解決策の先例なんです。京都でつくらせていただいた木の家の「家族の間」を撮った一枚。薪ストーブもあるし、造付家具と空間の調和がとても素敵なお家ですね。

 

こちらの木の家、テレビのあるこの壁の向こう側が真南。でも、道路がすぐ近くにあって、そこに向けて大きな窓を設置してしまうと、プライバシーの面で問題がある。そこで、部屋を明るくしつつそうした問題をクリアする手段が、この窓です。

 

1階部分には向こうへ押し出すように開く3連の「高窓」を設け、風はここから。そしてその直上、吹抜け部分の大きなはめ殺し窓から、家族の間へと燦々と明かりが入る、という寸法。

 

この家のお庭は、この写真のさらに左側、東側にあって、そこへはダイニングが面し、掃出窓があります。建物が開くのはそちら側、そして南からは光と風だけを採り込む、というわけですね。

 

このように、空間を立体的に考え、窓の機能を分けることで、見たいものを見る、あるいは光や風を採り込む、という課題がすんなりと解決するということは、割によくある。そしてそんな、悪条件を逆手に取ったようなプランが出来た時は、やはりとても嬉しいものです。

 

今回のプランも、この写真のお宅とはまた意味が違うとはいえ、空間を立体的に考えることで、与えられた条件をうまく満たしながら心地いい空間が出来るという点は同じです。条件を逆に活かし、機転を利かせたそんなプランへとうまく仕上がるのが見えて、一安心。

 

今回は遠出があるので早めに仕上げましたが、実はここに至るまで、結構な量のラフスケッチを描いています。その段階で色んな課題をかなり詰めておかないと、ご提出まで日をおいても崩れないだけの強いプランにはなりませんから。

 

プランというものにはそういった、閃きとそれをかたちへと高めていく研磨の時間、どちらも必要なんですね。今回はそれがちゃんとでき、自分でも納得しているので、お客さまへのご提案の準備も盤石であります。


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