あいとよむ大地

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〈北海道遠足回想録。初日は彫刻たちが佇む公園からスタートでした。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

3日間の北海道出張のあいだ、ブログをお休みさせていただきました。そして今日から3日間は、その素晴らしかった旅の回想録になります。私の心を揺さぶったいくつもの体験、皆さんに少しでも伝わるよう、画像多めでご紹介してまいります。

 

初日、22日お昼すぎに、同じ「暮らしのシゴト」のお仲間、松下さん宇野さんと共に新千歳空港へと到着しました。空港でお昼を済ませ、そこからお目当ての「ADW(旭川デザインウィーク)」が開催されている旭川へレンタカーで向かいましたが、その途中にひとつ寄り道を。

 

それは「アルテピアッツァ美唄(びばい)」というところです。美唄というのは地名で、この地の出身である彫刻家・安田侃(かん)氏の作品があちこちに佇んでいる、野外彫刻公園なんです。では、冒頭の写真も含め、素晴らしく美しいその風景をどうぞ。

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前日まで雨だったと聞きましたが、雨上がりですっきりと澄んだ空気の中、緑はいよいよ碧く濃く、そして佇む彫刻たちもくっきりとその緑に映えて、まさに心が震えるような場所でしたね。

 

冒頭の写真に写っているのが、北海道遠足のメンバーお二人。そしてその奥に、なにやら建物が見えていますね。これは旧栄小学校の木造校舎で、実は中にも入れるこの木の建築が、さらに私たちを感動させてくれました。

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このように、木造校舎の内部にも安田作品がなんともいえないバランスで展示されています。そしてさらに、この木造校舎は今なお、その一部が幼稚園として使われているんですよ。

 

広い公園は園児たちの遊び場。そして彫刻たちも、子どもたちの遊具。幼稚園の教室の中にも小さな彫刻が置いてあり、それもまた子どもたちの「お馬さん」になっていたりして。

 

安田侃が己の故郷にあるその幼稚園を見た時、「この子どもたちが、心をひろげられる広場をつくろう」と思った。そしてそれがこの野外彫刻公園の始まりだというのです。なんと素晴らしい話ではありませんか。

 

そしてアルテピアッツァのHPには、こんな文章もありました。「ここは、一人の彫刻家・安田侃が今なお創り続ける、大自然と彫刻とが相響する野外彫刻公園である」と。

 

この相響(そうきょう)という言葉、安田侃の作品にも同じ名のものがあります。これを今日読んだ時、彼の地で私たちが感じたあの「共鳴」のようなもののことだと、すぐにわかりました。

 

大自然とそこに無造作に置かれた彫刻たち。そしてそれと戯れる子どもたちと、それにつられて彫刻に触れ、体でそれを感じる私たち。どれもが響きあっている。お互いに響きを伝えあっている。

 

そして私は、この相響という耳慣れない言葉を、しかしどこかで見たことがある?そう感じたのでそれも調べてみたところ、それは万葉集の歌でした。

 

山彦(やまびこ)の相響(あひとよ)むまで 妻恋ひに鹿(か)鳴く山辺(やまへ)にひとりのみして

(山彦の響き合うばかりに声高く、妻を恋い慕って鹿が鳴く山辺に、ただ独りだけでいて…。)大伴家持の歌です。

 

この山彦の相響む、というイメージが、アルテピアッツァ美唄で感じられたものに通じる気がします。「あいとよむ」という和語がとても素敵ですね。安田侃が万葉集を意識したかどうかはわかりませんが、でもこの自然豊かな広場には、相響む山彦のようなものが漲っている。

 

初めて来るのにどこか懐かしいような、そんな場所。そこでそんな響きあいををひとつひとつ味わっていたら、予定の出発時間を大幅にオーバーし、旭川入りがかなり遅れてしまったこと、ここに白状いたします。

 

でも、それほどまでに時を忘れ、感動しながら過ごせる場所は、なかなかない。3日間の北海道遠足のスタートは、この上なく幸先の良いものとなったのでした。


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