誘いだす江戸

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〈以前から一度行ってみたかった博物館で、江戸を満喫してきました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

昨日今日と、東京に行っておりました。今日の午前中にお客さまとの打合せがあり、いつものように他のこともついでに色々楽しんできた次第。

 

昨日は早めにお江戸入りして、美術館巡り。金曜は夜遅くまでやっている館があるので、それを活用です。そして今日の午後は、向こうにいる友人の案内で、行ったことのなかった「江戸東京博物館」を見学してきました。

 

以前からこのブログに時代小説がよく登場したりしますが、私は江戸時代というものに非常に興味があります。文明開化以前、全てが太陽エネルギーから生まれるもので成り立っていた、江戸という完全リサイクル社会に。そして、その時代を生きる人々に。

 

そういう私の興味にピッタリのものを展示しているのは知っていたのですが、今までなかなかタイミングが合わず。今日は地理的にも近いところにいたので、喜び勇んでの訪問。美術館と違って写真もOKでしたので、それも使ってご紹介しましょう。

 

まず冒頭の写真。広大な展示空間に入ると、まずその吹抜けの中に実物大の「日本橋」が復元されています。そして橋を渡りつつ下の階を見ると、芝居小屋・中村座が同じく実寸で。もうこれだけでわくわく感が高まります。

 

徳川の歴史や江戸城、大名屋敷の模型などもありましたが、私の興味が集中するのは、やはり江戸の庶民の暮らし。それらに関する展示もたくさんありました。

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これは江戸初期、寛永の頃の町人地の模型。日本橋北詰あたりの復元で、これがまた、ひとつひとつの建物の細部まで、非常によく出来ている。木の家づくりをしている者としては、たまりません。

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同じ模型の細部。この頃はまだ瓦葺きの方が少ない、ということがわかりますね。檜皮葺、板葺き、石置屋根。八代将軍吉宗が防災の観点から瓦葺きを大いに奨励した、と学校で学んだことを思い出しました。

 

そう、江戸は火事が頻発する都市でもあった。江戸城も何度か焼失、再建をしているんですね。その際に木曽の山から材木を調達してきたことを描いた絵巻物「木曽山材木伐出之図」も展示されていました。

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私は自分の前世が木曽の杣人だと教えてもらったこともあり、やはりとても気になります。

 

そして、いわゆる「裏長屋」の暮らしの様子も実物大の復元があって、これまた見飽きない。これは大工さんの家です。

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六畳のスペースに家族で住むのが裏長屋の基本スタイルですね。そしてこれは指物師の家。

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こういう「木を扱う志事」は、百万都市・江戸では非常に需要があった。それは前述の火災頻発のこととも関係していますが、その志事を今に受け継ぐと自負する私たちには、こうした展示がとても興味深いのです。

 

他にも、これは絵草紙屋の店の原寸再現。「絵草紙」という江戸のメディアも非常に興味深い。蔦屋重三郎という版元、江戸のメディアプロデューサーのことも書評で書いたことがありますね。

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そして、今回私が一番感動したのが、次の模型です。

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これは、江戸の街の「盛り場」を再現したもの。場所は両国橋西詰の広小路、この江戸東京博物館からすぐのところです。時代は天保の改革によって取締りが強化される前、19世紀初頭というところでしょうか。取締りの文書から、むしろその前にどんなものがあったかがわかり、復元が出来たといいます。

 

この模型の中に人間が1500人いるそうで、皆とても楽しそうなんです。どの時代にも人は暮らしの中に娯楽を求めるもの。こうした盛り場の高揚した雰囲気、そして隅田川の川面の賑わい。そんなものがとてもよく込められた、見ていて想像が膨らむ模型でしたね。

 

私が江戸に興味があるのは、文明開化から戦争の時代を経て高度成長期を過ぎてきた日本が、日本人が、その激動の中で忘れてしまったものがそこにあると想うから。そして今、そのことに気づいた人が増えつつある、そうも感じています。

 

今日、しばし江戸時代にタイムスリップしてみて、ああ、やっぱり日本人はそう変わっていない、と思える部分もありました。時代に翻弄されて忘れてしまったものも、まだ私たちのどこかに眠っているだけなのかもしれません。

 

そして、それをまた記憶や暮らしの表面に誘い出し、今の時代の知恵として活かすためにも、このたった150年ほど前まで続いていた時代のことをもっと多くの人が知るべき、そうも強く感じた次第です。


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