里山の孔

2016-07-15

〈お客さまと再度訪れた住宅博で、前回見られなかった大きな開口部に触発されました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日も午後一番から、先日も行った「里山住宅博」の開場へ赴きました。先日のは下見で、今日は家づくりをご一緒するお客さまと共に見学、今日が本番だったんです。

 

と言っても、平日には全ての家の内部空間は見られませんし、そもそもまだ竣工していない建物もある。今日はまず「こういう住宅博がある」と知ってもらって、まずは外観から、お互いのイメージ共有を進めていこうという算段です。

 

そして私自身の学びとしては、前回は建築家・堀部安嗣氏の設計になる木の家でその開口部のデザインに感心を。さらに今日はまた別の家で、窓を介した家の中と外とのつながりについて学ぶことが出来ました。

 

冒頭の写真がその窓をもつ建物。建築家・趙海光(ちょう うみひこ)さん設計の「現代町家」です。施工は大市住宅産業さん。KJWORKSとはまたちょっと違ったテイストの木の家でしたね。

 

写真の中央に大きく開いた窓。幅は一間半、柱の間の寸法で言うと、260センチくらいあるでしょうか。そして、その全てが開いていますね。今日は日差しもあまりきつくなく、風もあったので、この開口部から涼風が入ってきて、とても気持ちよかったのです。

 

これだけの大開口なのにサッシが見えない理由は、2枚の障子(サッシで動く部分をこう言います)が両方とも引き込まれているから。写真で言うと、格子でつくられた雨戸があるところに引いてしまって、見えなくなっています。

 

ここ数年、いわゆる「引違い窓」ではない、こうした「引込み窓」が製品として出てきています。私もそれは知っていますが、この260センチ幅のものがあるのは知りませんでした。ちょっとショックです(笑)。

 

前回はこの格子雨戸によって隠されていたので、外部からは見えなかったんですね。これはすごいと思って、展示中の建物におられたスタッフの方にお聞きすると、これはYKKのサッシ、それも住宅用ではないタイプのものだそうです。なるほど、道理でゴツい断面なんや。

 

確かに住宅用のサッシだともう少し華奢な寸法になる。それをあえてこのビル用(?)を使ったのは、その大きな開口寸法がひとつと、おそらくサッシの性能面のこともあったと想像されます。引込みタイプのサッシは引違いタイプよりも隙間ができやすく、気密性能の確保が難しいはずですから。

 

いずれにしても、ここまでシンプルな「穴」になるタイプのサッシがあると、それはそれで魅力的ですね、特にアウトドア派の方には。この写真を見ても、デッキと室内とのつながりの心地よさは抜群。中間期などはとても心地よく過ごせそうです。

 

正直申し上げて、この現代町家の建物には、私としては「?」な部分もあちこちありました。でも、この開口部の愉しさは素晴らしい。そこには迷わず「座布団一枚」だと思いました。

 

一気に話は飛びますが、私が生まれた年、1967年に建築家・原広司が「有孔体の理論」というものを唱えました。建築を「有孔体」として理解するという考えで、例えば音、熱、光、人間、モノといった「作用因子」を、孔によって制御することで空間を定義しようと試みたもの、だと言えるでしょう。

 

建築は孔によって外部と内部とのつながりをもつ。考えてみればあたり前の話ですが、それを「有孔体」と定義づけたことの革新性はすごい。そしてそれは、私の建築についての理解の根本を成しています。

 

そういう風に建築を見ていることもあって、今日の全開口サッシのような大きな「孔」には、非常に惹かれる私。これからまた製品としてのリサーチもしなくてはいけませんが、このインパクトは何か今後のKJWORKSの木の家づくりにも役立てたい、そう強く感じた次第です。


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