窓はぬくもの

2016-07-21

〈西宮の木の家、現場はだいぶ完成形の見え方へ近づいてきました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日も日中は暑かったですね。そんな中、西宮で進んでいる木の家づくりの現場へ、ちょっと久しぶりに進捗確認に行ってきました。

 

現場の状況は、外壁は下地のモルタルまで進んでいます。そして内部は、断熱材セルロースファイバーの吹き込みも終わって、大工さんが木工事を進めているところ。外は暑いですが、サッシと断熱が入ると、現場は一気に過ごしやすくなるのです。

 

そんな感じで、外壁も内部仕上げも徐々に完成形へと近づいていくと、室内から見た周辺状況、その見え方も段々とわかってきます。今日はその見え方をひとつひとつ確かめていたのでした。

 

この木の家は2階がリビング。そして周辺には家が建ち並んでいるのですが、でもよく見ると、あまり近接、密集して建ってはいない。最初に土地をお客さまと一緒に見た時、そう思いました。そして、この「空隙」を狙った間取りなら、きっといい家になる、とも。

 

そしてお客さまと話し合って決めた間取り、その窓の取り方。周囲の家の間を狙って、そしてその向こうにある周辺環境の緑へと照準を合わせた窓、その「孔の開け方」は間違っていない、今日はそう感じることができた次第。

 

冒頭の写真は、南側の一番大きな掃出し窓からの眺めです。まだバルコニーデッキは骨組みしかありませんが、ちょうど隣家の間を縫うように、遠くへの「抜け」が確保されていますね。

 

そして、この写真で左側に写っている外壁にある窓、これを室内から見るとこうなります。

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ちょっと足場があってわかりにくいですが、ここも隣家間の空きに向けて開口部がとられているんです。そして向こうには「借景」の大きな樹木が少し見えていますよ。

 

さらに、最も塞がれている東側も、うまくその間を縫って、「抜け」を生む窓がつくられています。こんな感じです。

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住宅地でありながら、よく茂った緑があちこちに見えているこの地域。敷地を体全体で味わいながら見極めたその「抜け」を、窓の位置にとりこんで間取りへとまとめあげたつもりではいましたが、実際に現場でサッシのガラス越しに見える風景を確かめて、ほっと一息です。

 

先日、私はこのブログで「有孔体の理論」というのを少し書きました。窓は建物の「孔」であり、そこから何が出入りするかが建築の質を決める。そう私は思っていて、窓(まど)=間戸→間取り、と言ってもよいほどに、それは非常に重要なことなんですね。

 

実は、今までに何度も、KJWORKSと家づくりすることになったお客さまから聞いた話があります。それはこんな話。「◯◯ハウスさんの間取り、周辺環境に全く関係なく、南側に大きな掃出し窓がくるんですよね」と。確かに私も、そういう絵を見たことがあります。

 

こういうよろしくない事例は、要するに「窓」の役割を全く考えずに窓をつけている、と言えるでしょう。でもそれでは、室内環境には良いモノを取り込むことが出来ません。良いモノとは、光や風、眺め、そして「抜け」や「広がり」といったものです。

 

窓の前に何かが立ちはだかる時、大きな窓は意味を成さない。大きな窓であればあるほど、その前には「抜け」が必要で、それは比例関係にあると言っていいでしょう。窓とはすなわち、何かに向かって「抜く」ものでもあるんですね。

 

そうした、私にとってはあたり前のこと、間取りづくりの大前提でもあることが、別のつくり手にとってはさして重要でないらしい。そのこと自体に驚きを隠せませんが、しかしそれは、家が出来れば一目瞭然の違いになって現れる、とても恐ろしいことです。

 

他がどうあれ、私は「窓→間取り」という図式の元で家づくりをしています。そして今日のように現場でそれを確かめられた時、その式の大切さをその都度考えなおし、フィードバックという引出しを徐々に増やしていく。

 

そして今日もまた、つくられる最中の家から私の中に納められた知恵がありました。それを現場で感じ取ることもまた、つくり手の醍醐味と言えるのでしょうね。


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