涼味のファブリック

2016-07-30

〈今年もまたKJWORKS本社のカフェスペースで風に揺らぐのは、涼し気な暖簾たちです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は久しぶりに、KJWORKS本社「くらしの杜」へと足を運びました。お客さまにご提出する木の家のプランについて、設計のマネージャー・松尾くんに相談することがあって。

 

そして今日は、「そろそろそうなっているかな」と思っていたことがあるんです。それがカフェスペースの模様替え。毎年夏になると、ここが夏仕様になる。スペースのあちこちに、琉球の布でつくられた暖簾やタペストリーが飾られるんですよ。

 

思った通り、そうなっていました。冒頭の写真がその様子。毎年このように、客席のゆるい仕切りのような感じで、琉球暖簾が飾られます。とても涼しげで、ちょっと異国情緒が漂って、いい感じですね。

 

苧麻(ちょま:あるいはカラムシとも)といった草から採られた繊維で織られている琉球の布は、ざっくりとした少し荒い感じが魅力。ここに風をはらむと、なんとも涼しげに見えるのです。

 

昨年の夏も、私はこの暖簾についてこのブログに記事を載せています。その時には、建具を付けるまでもない部屋のゆるい仕切りとしての暖簾の活用法などについて書いたのでした。

 

そしてもうひとつの暖簾のよいところは、「衣替え」できること、とも書きました。確かに、この琉球暖簾も、夏の間だけこのカフェスペースに登場しますから、「ある・ない」についてもゆるく切り替えが出来ているということですね。

 

関西では「暖簾」という言葉にひときわ大きな意味をもたせることがあって、それは時に「店」あるいは「ブランド」と同義であったりします。それも、商家の店先に下げられて外と中をゆるく仕切っていた、店名染め抜きの暖簾の存在から来ているようです。

 

このように、布を下げて空間をゆるく仕切ることに日本人は歴史をもっています。私が思うに、それは「夏を旨とすべし」と言われてきた木の家のつくられ方と、無関係ではないはず。

 

風を通しながら、視線を遮る。そしてさらに、風が通って布が揺れ動くことに見えない風の存在を感じ、そこに涼味を感じる。日本家屋は、基本的に開けっ放しの空間ですから、そこに果たすこうした布物の役割はとても重要ですね。

 

そして、永く私たちの中に積み重なった記憶はさらに、織物の手ざわりや風合い、その素材からも季節を感じることが出来ます。密に詰まった厚い布、反対に風通しよくざっくり織られた布。

 

それを見るだけで、触るだけで、ああ暖かそう、涼しそう、と感じる。そうした感性は、なんだかあたり前のようであっても、実はとても素晴らしいことだと私は思うし、毎年夏になってこの琉球暖簾を見るたびに、そのことを改めて感じています。

 

日本語には「目に涼しい」という素敵な言葉もありますね。さしずめこの琉球暖簾は、目に涼しく、そして手に涼しいとも言えるのではないでしょうか。涼味いっぱいのこのファブリック、一度「くらしの杜」へ見に、触りにいらしてくださいませ。


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