ひんやりを大地から

2016-08-08

〈見るだけでひんやり心地よさげな通り土間。夏はこういう家がいいですね。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

本当に暑い日が続きますね。外気温が35度を超えるような猛暑、私も少し外に出て動いているだけで、もう汗だくになります。皆さま、くれぐれも熱中症にはお気をつけ下さいませ。

 

こんな時、今までつくってきた木の家の中で、「ああ、あそこは涼しかったなあ」と想い出す場所があるんです。それは、今まで何軒かつくってきた「通り土間のある家」の、土間空間。

 

冒頭の写真もそのひとつ。いかにもひんやりと涼しそうでしょう?そして実際に、この土間は夏場はとても心地いい。足元の温度が低いのが、ほんのりと感じられますよ。

 

それにはちゃんと理由があり、それを理解した上でそうなるように施工されているから。これは、ひとつのパッシブデザイン(=自然エネルギーを無理なく活かすデザイン)なんです。

 

この場合の自然エネルギーというのは、地熱です。地熱と言っても熱い方ではないですよ。夏場は、気温よりも土の下の温度のほうが低くなるので、それが家の中に伝わるようにつくる、というわけ。

 

今の若い方はあまりご経験がないかもしれませんが、井戸の水(すなわち地下水)は、年間を通して温度がほとんどかわりません。それは即ち、外気温の影響を受けることがない、ということ。

 

それと同様に、特に建物で覆われた地面の温度は、太陽熱を受けることもなく、外気にも触れないので、年間の温度差が少なくなります。夏は気温より低く、冬は気温よりも高い、そういう状態になるんですね。

 

KJWORKSの木の家では全て「ベタ基礎」を採用しますが、その基礎面のうち、建物の壁面につながる外周立上りとそこから一定の距離の平面部分のみ断熱をします。これは外気と、外気に触れている外の地面からの熱伝導を防ぐためです。

 

それ以外の、建物中央部の基礎は断熱がなく、地熱をそのまま基礎コンクリートに伝えるようにします。そうすることで、井戸の水と同じように、少しひんやりとした空気を基礎の上につくることが出来ますから。

 

そして土間の場合は、その基礎の上に空間がなく、そのまま床面になるわけですから、そのひんやりが直に味わえる、ということになります。写真のような通り土間でも、そのために外周部はちゃんと断熱しているんですよ。

 

土間というのは、熱環境的には「蓄熱体」であると考えて設計をするべきものです。その蓄熱効果をどのように活かすかによって、どの季節に向いた土間なのかが決まってくる、と言えるでしょう。

 

例えば、南側の大きな掃出窓に面した土間の場合は、いくら地面の下の温度が少し低くても、それ以上に窓から入ってくる熱を貯めこみますから、とても「ひんやり」とはなりません。これは夏ではなくて、冬に嬉しい土間ですね。

 

対して、写真のようなあまり陽が入らないところ、なおかつ壁の外も周辺環境によって陰になる、あるいは北側で陰になる、というような場所だと、ひんやりと夏に嬉しい土間になります。

 

昨今は年々温暖化が進行し、日本の家もさらに「夏を旨とすべし」という状況にあると思います。そうした時に、このようなパッシブデザインを取り入れて、少しでも夏を快適に過ごせたらいいですね。

 

エアコンを全く使わない暮らし、というのは今やもう現実的ではないでしょう。しかし、暑さが少しやわらいだ時に、夜風を肌に嬉しく感じたり、こうした土間のひんやりを感じたりできる時間もまた、暮らしの豊かさではないでしょうか。

 

「涼を取る」という素敵な言葉が日本語にはあります。家の中で、大地からもらった恵みで少し涼を取れる家、とてもいいですね。またこうした「通り土間の家」をつくりたいなあ、なんて、心地よさげな写真を見ながら想っている私です。


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