普請と名刹

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〈お客さま宅の近くのお寺、その見た目が変わっていたので久しぶりに訪れました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は朝から、宝塚にある木の家の住まい手さんをご訪問していました。家の前にあるデッキのメンテナンスのお話でしたが、思ったより早く終わったので、帰りにちょっと寄り道をすることに。

 

冒頭の写真がその場所、お客さま宅から歩いてすぐのところにある古刹、紫雲山中山寺です。「中山観音さん」と呼ばれ、安産の祈願寺として全国的に有名ですね。

 

有名なのは近年ではなくて、はるか古の昔から。創建は聖徳太子によると伝えられている、この国で最初の観音霊場です。代々の皇室から庶民に至るまで、大きな信仰を集める名刹と言えるでしょう。

 

私もご多分に漏れず、奥さんのお腹に赤ちゃんがいる時に腹帯をもらいに来たものです。そして、安産であったお礼参りも。もうずいぶん前のことのように感じますが。

 

でも、志事の途中に寄るのは久しぶり。参詣の方はまばら、朝9時台だからまだちょっと早いのかな。おかげで落ち着いてゆっくり見られました。ちょっと写真でご紹介いたしましょう。

 

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まずこの仁王門をくぐって入ります。これは徳川家光が再建したものだそうですね。

 

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参道には蓮の花。なかなかの風情です。

 

そして冒頭の写真がご本殿。今ある伽藍は1603年に豊臣秀頼がつくりあげたものだそうです。秀吉が中山観音に祈願して秀頼を授かった、ということから秀頼も篤く信仰していたようですね。

 

この中山寺の山号は紫雲山で、「北摂の地に紫の雲たなびく」と言われたとのことですが、今日も頭の上には何やら神獣を感じさせるような変わった形の雲がいくつも浮かんでいたのが印象的でした。

 

そして本堂の向こうが大願塔(多宝塔)です。多宝塔は円形の平面に四角い屋根を載せているので、外観が変わっていますね。この多宝塔はまだ出来て7年と新しい。「中山寺参詣曼茶羅」に描かれながら現存していなかったものを、近年再建したものです。

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見上げれば、塔の上にも変わった形の雲。

 

実は、その「再建」が今日私の足を中山寺に向かわせたのでした。お客さまの家の前の道から、何やら建設現場らしきものが見えたんです。やはり商売柄気になって行ってみたら、こういう現場でした。

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これ、五重塔の再建現場なのでした。この年末の完成だそうです。全然知りませんでしたが、塔もつくっていたんですね。そしてこれも多宝塔と同じく、「中山寺参詣曼茶羅」に描かれていたかつての塔の再現だそうです。

 

なるほど、聖徳太子の時代からの永い歴史をもつこの名刹は、かつての姿へ戻るべく、いまも伝統技術を駆使して普請を続けている。それは秀頼や家光がしてきたのと同じ。木造の危機を憂う建築屋としては、やはり嬉しいことですね。

 

ただ昔と違うのは、普請のための資力の出どころでしょう。今それを担うのは、安産祈願で全国から訪れるたくさんの親御さんの、真摯な想いの筈。そういう信仰心の危機もまた憂うべきことだと感じる私には、その意味でも頼もしい気がしました。

 

あとで聞いたのですが、実は昨日、中山寺では「星下り大祭」というお祭りがあったそうです。8月9日にお参りすると、西国三十三所観音霊場のすべてにお詣りしたのと同じ功徳があると言われているんだそうですよ。

 

なんだ、その翌日だから人出が少なかったのか。ちょっと残念に思いつつも、古刹をゆっくり味わい、そして平成の再建の現場も体感できて、なかなか充実した時間を愉しめた朝だったのでした。


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