デッキに工夫あり

2016-08-20

〈暑い最中の外部デッキづくり。つくり手としての色んな工夫が込められる部分です。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は午前中、久しぶりに西宮で進む木の家づくりの現場を訪れ、施主であるお客さまともお話することが出来ました。大工さんによる木工事もあと少しの現場から、今の様子を。

 

室内の石膏ボード張りなどはほとんど終わってきている状況。そして今日の冒頭の写真は、2階リビングであるこのお宅の、お庭代わりのバルコニーデッキの施工の様子ですね。

 

床板は簀の子状にもう張り終えていて、手摺の部分をつくっているところ。バルコニーデッキの手摺に求められる性能というのはいくつかあって、まずは落下防止。次に風通し、そしてプライバシー保護です。

 

落下防止の意味では、ある程度の高さと、そして小さなお子さんが足を掛けて登ることの出来ない形状がもとめられます。それを満足しながら、風の抜ける、そして外から見え過ぎない「隙間」をつくる。簡単なようで、微妙な加減が必要なんですよ。

 

いつもですと、この床板と同じように板を簀の子状に、間を空けて張っていくことが多いですね。でも今回は、板ではなくて棒状の角材を使って、非常に密なピッチで取り付けていくデザインになりました。

 

こうすると、間をあけた板材よりもさらに「隙間」が多いデザインになります。この場所でのプライバシー保護のあり方、風の具合、そしてお客さまのデザイン的な好みをふまえて決めた形状です。

 

「家族の間」から見るとこんな感じでした。なかなかシャープで格好良いですね。手間暇がかかる分、美しさもさらに増して。

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そして、このバルコニーデッキに使われている木材の色合いにお気づきでしょうか。少し緑がかった茶色というか、とても微妙な色。実はこの床板も手摺の材料も、既にある「木材防護保持材」が塗布されているんです。

 

その塗料は「ウッドロングエコ」という名前。その名の通り、木材保護塗料の中では非常にエコで安全性の高いものです。ハーブ、天然樹脂、鉱物など自然素材100%で、そのまま木材と共に「土に還る」ことが出来る。あたり前のようで実は希少な塗料だと言えるでしょう。

 

この塗ったばかりの時の色合いは、人によっては気になったりもするのですが、でもこれが、徐々に美しく変わっていきます。緑がかった茶色から、何というか、銀色を帯びた灰褐色のような色に。風雨によって徐々に成分が木材の内部に浸透し、日光を浴びて化学変化を起こすとのこと。

 

もう一点の特徴は、この塗料には塗り直しがないということ。一回だけ。外部の木材の塗装については色んな考え方がありますが、安全性とその風合いに共感し、塗り直しを気にされる方にご採用いただいていますね。

 

そして、このバルコニーデッキを1階から見上げたところが次の写真。

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柱や梁にも全てウッドロングエコが塗布されています。簀の子上の床板の間から光が漏れていますね。なかなかいい感じ。そしてよく見ると、梁の上にシルバーのラインが通っていますよ。

 

これは、ガルバリウム鋼板によって梁をカバーしているんです。その上に板を取り付ける。デッキの板は取り替えることが出来ても、梁を取り替えることは難しいですから、少しでも風雨によって傷まないように、という工夫なんですね。

 

ちょっとしたことですが、この梁カバーの威力は絶大です。私の家も2階リビングで、もう築12年目になりますが、バルコニーデッキの骨組みは全く傷んでいません。板は10年めに何枚か替えましたが。

 

ちなみにその「傷んだ板を替える」という際にも、板を留めているビスが安物の亜鉛メッキだと、替えようにも錆びて取れない、なんて情けない話になります。外部木部のビスはステンレスでなければいけません。

 

木の家に設けるデッキは、やはり見た目と肌触りのいい木のデッキがいいですよね。でも日本の気候の中でつくる外部木部には、ことほど左様に守っておくべきことが色々とあります。

 

そうしたちょっとした工夫の積み重ねがあるから、このお宅のバルコニーデッキもきっといい雰囲気で愉しく使っていただける。今日の現場で既に、それが私の眼には見えるようでした。

 

家づくりに「完璧な答え」はありません。材料の特性を活かし、工法の工夫を重ね、お客さまと自分自身に恥ずかしくないものを、話し合いと納得の上でつくる。それが施工者の誠意というものですね。

 

そして外部の木部には、特にそれが如実に表れる。今日もそのことを想いつつ、大工さんの手際を眺めていた私でした。


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