角が立つシゴト

2016-09-02

〈大工さんから内装にバトンタッチした木の家の現場。その最初の工程を見てきました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日はまた、西宮で進んでいる木の家づくりの現場へとお邪魔してきました。大工さんの木工事が終わったのでその確認と、次のステップを見せてもらいに。

 

はい、冒頭の写真が今日の現場の様子です。何やら薄い黄色の壁、あるいは薄い緑色の壁、そして天井のあちこちに、帯のようなライン状にペンキが塗ってあるように見えますね。

 

これはペンキではなく、「パテ」というものです。大工さんの次の工程で現場へ登場するのは、内装屋さん。昨日から内装の三宅さんが入っているということで、進捗の確認も兼ねて、顔を見に。

 

パテというのは、内装屋さんが最初の工程で使う材料です。石膏粉末が主原料で、練ってから左官屋さんと同様に壁や天井に塗って使うのですが、左官屋さんと違うのは、これが「補修・下地調整」の工程ということ。パテ処理と言います。

 

写真にある薄い黄色と薄い緑色の壁や天井は、大工さんが張った石膏ボード。黄色が普通の、緑色は水廻り用の「耐水ボード」ですね。これが壁や天井仕上げの下地になります。

 

でも、ボードは全面がまっ平らではありません。継ぎ目とか、ちょっとした欠けとか、留めたビスの頭の窪みとか、あちこちに平らでない部分がある。パテ処理とは、それらにパテを埋めて補修し、平滑な面をつくりだす工程です。

 

そして、このパテ処理工程で非常に大事なのが、私たちは出隅とも呼ぶ「角(かど)」の処理です。この角の部分の石膏ボードは、どうしても欠けやすくなるから。それは現場の間も、そして竣工してからもそうですね。

 

冒頭の写真にも、壁同士の角、天井と壁の角などいっぱいあります。またこのお宅では、窓まわりをすっきり魅せるために枠を減らして納めていますので、窓の周りにもボードの角があちこちに出てくる。

 

内装屋さんは、それらの角を補強して回ってくれます。出来上がってから住まい手さんがぶつかっても欠けないように。そのための材料がこちら。コーナーガードなどと呼んでいますね。

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L字形断面の樹脂の棒に、小さな穴がいっぱい空いています。これをボードの角に貼り付け、その上からパテで埋めていく。この小穴にパテが入って、全体が周囲のボードと馴染む、という寸法です。

 

三宅さん、昨日からずっとこうしたパテ処理の工程を頑張ってくれています。全ての不陸(凸凹のこと)を埋め、そして全ての角を補強し、平滑な面と、そしてきちっと角が立った壁や天井をつくるために。

 

この家の内装仕上げは、私の事務所「木の空間」にも使われている「ローラー漆喰」というものです。工程としては、パテ処理の後、塗りの下地となる紙のクロスを張り、その後にようやく漆喰をローラーで塗ることが出来ます。

 

でも、ローラー塗りはさほど難しい作業ではありません。一番大変なのは、このパテ処理。下地がよくないと、絶対に仕上げは上手くいきません。出来上がったら見えなくなるこの最初の工程こそ、内装屋さんの腕の見せ所なんですね。

 

私もそれがわかっているので、ローラー塗りの段階でなく、こうしてパテ処理の段階で三宅さんの志事を見せてもらいに伺った、というわけなのでした。「この現場、か・な・り苦労しますね!」なんて、笑いながらですが、本音が聞けました(笑)。

 

家づくりの現場とは全て、出来上がったら見えなくなるこうした職人さんの腕の積み重ねなんです。私たち工務店の者は常に、それを当然とせず、その労に報いるという想いをもつべし、そう大いに感じる次第。

 

さあ、来週にはこの壁や天井が、全て漆喰の純白に生まれ変わりますよ。その一変した姿も、その下に隠れているこうした志事を見知っていればこそ、なおさら美しく見えるというものですね。


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