呼びかけあう意匠

2016-09-05

〈初めて空間を体感した木の家で、楽しい経緯が想像できるデザインを見ることが出来ました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は朝からのお客さまご訪問と、午後からのミーティングとの間に、木の家の現場へと立ち寄りました。私が担当にはなっていない、でもよく知っている場所に建つ木の家です。

 

自分が担当させていただいている家以外にも、今日のようにタイミングが合えば、他の現場も見ておきたいと思います。特に竣工間際の段階では。お客さまのことを存じあげなくても、やはり出来あがってきた家は、何かを語ってくれますから。

 

その家ではどのように「暮らしの実現」をカタチにしているのか、そこではどういう暮らしが想定されているのか。間取りづくりと実現した空間からのフィードバックを繰り返している私には、そこから読み取れるものもあるんです。

 

違う視点でつくられた家もまた、自分への刺激になります。今日はこのお宅で、冒頭の写真の場所がとてもいい味を出していて、印象に残りました。「家族の間」の一部、畳コーナーですね。

 

そこにあった収納は、床から少し間を空けた「吊り収納」になっていました。この床からの「空き」の向こうには「地窓」があって、広くはないこのスペースに奥行を与えていますよ。

 

また、その収納の幅は一間半(約2.7m)ですが、そこにあえて二枚の引違いの襖を立て込んでいます。そして幅の広い襖は、きっとお客さまと設計の平野が話し合って選んだであろう、和紙張りでの仕上げ。

 

この建具のデザインがなかなかいい。襖用の和紙というのは、幅が最大でも900前後で、それ以上の幅だと「継ぎ目」が出てしまいます。この一間半の間口を三枚の建具でつくれば継ぎ目は出ませんが、二枚だと出てしまう。

 

でもここでは、それを逆手に取るようにあえて二枚の建具にして、そして違う二種類の和紙を一枚の最大幅と、その残りとに張り分け、継ぎ目の存在を含めたデザインにしているんですね。

 

メインの方は花びらが舞い散るような柄の、でも色目は淡い和紙。そして両端の引手がつく部分の方は、くっきりと濃い色の無地のものを。そのコントラスト、色と柄といった組合せの妙を感じたのでした。

 

そして、左側に見えているこのスペースを仕切る障子も、組子の割り付けが「縦長」に考えられています。そう、まるで襖の「張り分け」のデザインと呼応するように。

 

これはあくまでも私見で、本当のところはわかりません。でも、家づくりの中で各部の意匠に何かしらテーマをもたせ、互いに呼応するようデザインするのは、とても効果的ですね。それは、見え方の「統一感」をもたらしてくれるから。

 

今日は初めて入ったこの現場で、そうした統一感を意識したデザインに出会いました。こうした箇所を、設計担当者とお客さまとが楽しんで決めていった経緯を想像するのも、また楽しいものです。

 

家づくりとはやはり、つくり手とお客さま双方がその意見のキャッチボールを愉しむこと、に尽きると思います。木の家に採用された各部の意匠が互いに呼応しあうものであり、なおかつそれが、人と人とが呼応しあった末に形になったものであったなら、それはとても素晴らしい。

 

そういうものであればこそ、お客さまの中に「愛着」を生むことが出来る。今日は自分も真似したい佳き意匠を味わいつつ、そんなことを考えていた私でした。


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