灯りの位置、光の距離

2016-09-06

〈2階リビングなら勾配天井。その場合の灯りはかなり検討を要します。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は、以前にお引渡しした木の家の写真が登場です。昨日、私の担当ではない木の家の現場で想像したことから、ふとこの家の空間を思い出したので、写真を探してきました。

 

昨日私が見た竣工間際のその現場は、2階がリビングの木の家だったんです。そして2階リビングの時にはたいてい、出来るだけ屋根に沿って勾配天井にし、天井の高さと開放感を演出することになります。

 

今日の写真の家も、そして昨日の現場もそうでした。そしてこの勾配天井の時に最も色々と検討を要する部位が、この画像に写っています。それは、照明器具の取り付け位置ですね。

 

平らな天井だけでなく、傾斜した天井にも取り付けられる、いわゆるシーリングライト(天井付照明)もあります。しかし、あまり高いところに取り付けてしまうと、床の方まで光が届きにくくなってしまう。

 

といって、ペンダント(吊下げ照明)を上のほうから吊ると、長いコードと器具とのバランスが悪くなることが多いし、ある程度の大きな器具でないと格好がつかないんです。

 

最近は、割りと小さなサイズで質感の良いペンダントをいくつか並べて吊るす、ということもよくあって、それだとなおさら高い天井から吊られた姿は様にならないですね。

 

周囲の壁にスポットライトやブラケット(壁付照明)を付ける方法もあります。しかしそれだけでは、中央部分が暗いままになってしまう場合もあったりして、これもまたなかなか難しい。

 

勾配天井のある2階リビングの照明は、こんな感じでいろんな手法を検討し、そのお宅の空間のかたちに合わせ、それらを上手に組み合せて設置する、ということになります。

 

ちなみに冒頭の写真のお宅では、勾配天井はありますが、その中間部の空中に梁が表れています。こういう見せ方の場合は、その梁に照明器具を取り付けると、ちょうどいい。

 

床へも程よい距離で、かつこの方法だと天井も照らされて雰囲気が良くなります。なので、間取りをつくっている段階から、この空間にはここに梁を見せて灯りを取り付ける、なんてことを既に想定していたりしますね。

 

そして、写真にもうひとつ写っているのは、ダイニングテーブル上の黒いペンダント。これは芦屋の「flame」さんの器具で、琺瑯引きのシェードに、ねじれたコード、金具もなかなか良い雰囲気の器具なんです。

 

この時は、このペンダントの持ち味を殺さないよう、勾配天井から吊らずに、なおかつダイニングテーブルの大きさに合わせて位置調整できることが求められました。その答えが次の写真です。

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壁から、腕木(うでぎ)が出っ張っていて、そこにスライドコンセント(器具を移動できるレール)が埋め込まれています。この出幅の範囲で、器具位置は調整が効くというわけ。

 

ちょっと写真ではわかりにくいのですが、この腕木、この場所のためにウォールナットの無垢材でつくった一品物なんです。まだテーブルが入っていないので高さはこれから調整というところですが、こういう器具ですと、テーブル近くまで下がっているほうが素敵ですね。

 

事ほど左様に、勾配天井の時の照明器具は色々なファクターに頭を巡らす必要があります。この写真のお宅のように、器具が与えられていてそれを空間にどう活かすか、という場合もある。

 

しかし、器具の種類と、その光った時の灯りの位置、そして光が周囲に向かってどのように届くかを把握して、それを適材適所で空間に配置していくのは、とてもやり甲斐のある空間づくりの醍醐味と言っていいでしょう。

 

どちらかと言えば、部屋全体が煌々と明るいような空間よりも、器具ひとつひとつが個性を際立たせてあちこちで光っている、という分散型の灯りの方が、木の家には合っている気がします。

 

明るすぎず、でも暗くて困るようなことはなく、そして空間のかたちをより際立たせてくれるような照明計画が出来れば、その空間は夜もまた違う魅力をもって人を楽しませてくれる。

 

私自身は久しくやっていない、そんな照明配置計画。昨日も現場の空間を見ながら、自分ならどうやるか、なんて考えていました。そうした想像も、関わらなかった現場だからこその楽しみとも言えますね。


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