小部屋だからこそ

2016-09-12

〈内装工事終盤の木の家で、造作家具の工夫を確認しました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

西宮で進む木の家の現場は、もうすぐ内装屋さんの志事が終わるところです。今日は、先日進捗の確認に行った時に見た「造作家具(ぞうさくかぐ)」廻りのことを、少しご紹介しましょう。

 

冒頭の写真がそれ。造作家具というのは、大工さんによる木工事の中でつくられる造付家具のこと。家具屋さんが工房でつくってきて現場で設置するものが本来の造付家具ですので、それに対する用語のようなものですね。

 

この造作家具、何かお分かりになりますでしょうか。まあ、わかりますよね(笑)。ここは洗面・脱衣室。この家具は洗面台と、その横の洗濯機置場の棚が一体化したものです。

 

右が洗面台で、これから陶器製の洗面ボウルが入り、カウンターには撥水性の塗料が塗られて仕上がり。そしてそのサイドには、先日も書いたような「奥行きの浅い棚」がつくられていますね。これは、髭剃りや化粧品などの小物用の棚でしょう。

 

その棚のハコが、そのまま洗濯機上の棚を受けるかたちになっています。そして、洗濯機の上にあまり奥行の深い棚があると使いにくいので、この奥行寸法もちょうどよいところで考えられているようでした。

 

このハコが天井まであるとちょっと部屋が狭苦しくなって鬱陶しいし、現実にはそんなに上の方は使いにくい。ということで、途中までの高さのハコとしてつくられているのでしょう。こうしたちょっとした寸法も、かなり大切。

 

そして、洗面台の正面には鏡が来ます。カウンターの上に横棒が一本あって、ここより上が鏡。そして、顔が映る高さまで鏡を確保し、その上が「高窓」になっている。小さな部屋の中で最もコンパクトに効率よく採光を確保し、なおかつプライバシーを守るのに適した窓です。

 

おわかりいただけたでしょうか。この洗面・脱衣の小さなスペースを出来る限り無駄なく効率よく使い、なおかつ少しでも狭苦しくならないように、という配慮が、このひとつの造作家具廻りに色々とひしめいているということが。

 

この写真には写っていない、この洗面カウンターの背面側にも造作家具があります。それとセットで、洗面、脱衣、洗濯、そしてそれに付随する収納が網羅されているんですね。

 

これも先日も書いたことですが、造付家具の利点のひとつは、余分なスペースを消費しないということです。その特徴は、洗面脱衣のような小さな部屋には、なおさら嬉しいことですよね。

 

そして造付家具は、当然の事ながら一点ものです。貴方がこの場所をどう使うか、であればどうつくればいいか、ということを考えて設計されますから、その意味でも無駄がない。

 

そして最後に、こうした集成材パネルでつくられた造作家具は、おのずと木の家の雰囲気によく馴染みます。反らないための集成材とは言え、これも無垢の木ですから。

 

本当に、そういう造作家具を含む造付けの家具たちは、こうした小部屋だからこそ尚更、無駄なく無理なく、雰囲気に合わせてつくることに意義がある。そう感じます。

 

とは言っても水廻りのことですから、お客さまのお好みもあります。ジャブジャブ塗れても大丈夫な既成品の洗面台が向いている場合もある。私たちも、何が何でも造付家具、とは思いません。

 

でも、造付家具がお好きな方には、知っておいていただけたら嬉しいんです。小部屋につくる家具にこそ、その効果はよく現れるもの、ということを。

 

そして、その効果を最大限に発揮できるよう検討し案を練ることが、設計者の密やかな愉しみであることも。


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