葺くいろ葺くかたち

2016-09-13

〈屋根を形づくる素材が何であっても、日本の気候に合う形の屋根であることが最優先です。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

昨日は家づくり計画進行中のお客さまと、プランの打合せでした。色んなやり取りを繰り返し、間取りが徐々に固まってくるのは楽しいもの。そして、間取りの調整と並行して、話は当然家の外観デザインにも及んでいきます。

 

ここで、お客さまの方からひとつご要望がありました。屋根の素材について、KJWORKSが通常よく使うガルバリウム鋼板から、瓦屋根に変更したいと。そして瓦の中でも「洋瓦」をご所望です。こういうイメージのものですね。

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洋瓦の、「窯変」と呼ばれるあの色むらが好きです、というお話を受けて、私はこうお話しました。もちろん瓦屋根にすることも可能ですが、屋根の素材によって外観デザインも変わりますから、今日のご要望をふまえて再調整しましょう、と。

 

というのは、葺く素材によって、屋根の勾配が変わってくるからです。ガルバリウム鋼板による板金屋根なら、かなりの緩勾配でも屋根を葺くことが出来ますが、瓦屋根はそうはいかない、ということなんですね。

 

和瓦にせよ洋瓦にせよ、瓦というのは一枚一枚を重ね重ねて葺いていくもの。当然瓦と瓦の間には若干の隙間があります。あまりに緩い勾配の瓦屋根だと、台風などの時の吹上げで雨が隙間から侵入するおそれがあるんです。

 

このお宅は元々ガルバリウム屋根の予定で、間取りに合わせて緩い勾配の屋根を考えていました。しかし瓦で葺くことになると、その勾配が変わってくる。ということは即ち、外観全体も変わってくるということ。

 

と言っても、私の方でもお客さまのお好みは大体把握していますので、どちらになっても問題が発生しないようにはしてあります。ですので慌てること無く、若干の調整で進められることをお伝え出来ました。

 

さて、この洋瓦というモノ、KJWORKSの木の家で使うことは滅多にありません。でも、こういうタイプの瓦を使った家は、街中でわりとよく見ますね。なんというか、南欧プロヴァンス風?みたいなやつ。

 

個人的には、あのスタイルの外観デザインを好みません。南欧では、あの軒の出の全くない家で何も問題ないのでしょうが、ここは日本です。梅雨や台風の時季をもつ国に、あのスタイルはいかがなものか、と思うんです。

 

というか、オレンジ色を基調として色むらのある洋瓦を葺くと、あたり前のようにあの形になる、というのはおかしいですよね。屋根を何で葺くかということと、屋根の形がどうあるべきかは、また別の話ですから。

 

と、そこまで思いを致したところで、私の頭の中に浮かんでいたのが、今日の冒頭の写真のようなイメージなんです。純然たる日本家屋に、赤い色むらが映える屋根がとても美しい。これは「石州瓦」を葺いた家々ですね。

 

特に手前の納屋のような建物、この単純明快な屋根が素敵ですね。こういった窯変の色むらをもつ赤い瓦が、シンプルな切妻屋根で軒深くつくられていても、全くおかしくない。

 

こういう素晴らしい風景が日本に、特に山陰地方に多く遺ることを私は知っていますから、今回の洋瓦を葺くご希望についても、むしろ楽しみな気持ちになったんです。どんなデザインで形にしようかな、と。

 

瓦が屋根勾配を決めるように、素材がデザインを左右することは大いにあります。でも、家とはプロダクトではなく、その敷地の地面に、その場所の気候風土の中にあるもの。それを常に忘れてはいけません。

 

そこでは、まず存在する「あるべきかたち」に、それぞれの素材を上手く馴染ませていくことの方がデザインの役目として重要である。そう私は考えているんです。

 

さあ、KJWORKSの「洋瓦」の家、果たしてどういう姿になるでしょうか。私も楽しんでつくり上げていきますので、乞うご期待です。


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