土からつくる悠久

2016-09-14

〈鉄の展示のまえに、また別の風情ある質感を求め訪ねてきたんです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日はなんだか、異様な建築物が登場しましたよ。昨日は杉山製作所さんへの岐阜出張のことを書きましたが、せっかくの遠出に、私が「別件」を絡めないわけがありません(笑)。あと2回分、岐阜ブログにおつきあいくださいませ。

 

今回実は、前日夕方から岐阜入りしました。着いたのは関市ではなく多治見市。ここに前から気になっていた建物があるんです。写真がそれ、「多治見市モザイクタイルミュージアム」。関市へ行く前に、朝一番から訪問してきました。

 

設計は藤森照信さん、とこう書けばわかる人にはよくわかる、この独特のスタイル。とにかく有機的な形と自然素材でつくられる藤森氏ならではの造形は、他の追随を許しません。この外観は、タイルの元となる「粘土の山」のイメージだそうですよ。

 

これは外壁のアップ。埋め込まれているもの、見えますか?土と、土から出来た焼きもの、多治見らしい壁ですね。

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この場所は多治見市の笠原町というところで、昔からタイルの生産が盛んだったところ。私たちの業界でモザイクタイルと言えば、真っ先に浮かぶのが「名古屋モザイク」さんですが、同社もここが本拠地です。

 

それも知りつつ、モザイクタイルの美術館って一体どんなんやろ?と興味津々で訪れましたが、いやはや、実に楽しい時間でした。昨今モザイクタイルは人気が再燃している感じですが、今回は美の鑑賞と己の志事と、両面で。

 

冒頭の写真の小さな入口から入って受付をしたら、まず最上階へ。外観でも「屋根に穴が空いている」のが見えたのですが、その内部はこんな感じでした。

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壁、床、仕切り、その全てが白いモザイクタイルで仕上げられ、そこに銭湯の絵のようにいろんなタイル画が埋め込まれている。ここは雨が入る、屋外の展示スペースなんです。タイルの展示ならではですね。

 

中央の黒い影は、とても懐かしい感じがする、渋い質感のタイルで仕上げられたタワーです。ディテールはこんな感じ。

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他にも、モザイクタイル張りの「おくどさん」や浴槽など、歴史を刻んだ貴重なモノたちが、レトロ感いっぱいにたくさん展示されていました。そして屋根の穴から蜘蛛の巣のように張られたもの、これもモザイクタイルだったんです。

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ワイヤーを挟み込むように、両側からタイルが貼りあわせられている。モザイクタイルをこんな風に立体展示するなんて、すごい発想ですね。さすがは藤森さんだと感心しつつ、しばしその美しさに見惚れていました。

 

最上階の半屋外展示の次、3階では笠原町のタイル製造の歴史と、昔のタイル張りの展示が。建物から剥がしてきた貴重なモノもたくさんあり、またこんなサンプルのような展示も。どれも非常に美しく、まさにレトロモダンの感覚いっぱいでしたよ。

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そして2階は、現行の生産品です。今またモザイクタイル熱が高まっていることは先述の通りですが、笠原町には多くのつくり手があり、様々な製品が出ています。この階ではミュージアムというより完全に志事モードで、「タイルコンシェルジュ」さんから様々な情報を入手し、メモメモ(笑)。

 

とても全部はご紹介できませんが、ひとつだけ、可愛いのを。水廻りにいいかもしれませんね。

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タイルと言えば、以前はその耐久性を求めて、建物の外壁を覆うように張られたものですが、昨今のモザイクタイルブームは、むしろその質感と色彩の美しさをもって、家の中の「ワンポイント」としての風情と楽しむ、という感じ。

 

KJWORKSの木の家にステンドグラスがワンポイントで入るのと同じですね。ガラスもその質感と色彩をもって、無垢の木や漆喰とよく馴染みますが、タイルも同様。あの独特の質感は、やはり焼きものならではのもので、これまた木の家によく合う。

 

焼成物であるタイルの特徴は、その質感をずっと保って悠久の時を生きること。その意味でも、永く住み続けられる木の家にそうしたモノが入るのはとても好ましいと感じますね。

 

鉄も良し、焼きものもまた良し。そうした、互いに響きあうことの出来る素晴らしい材料を採り込むことで、木の家にもまた様々な「素材の時間」を宿らせることが出来そう。

 

触っていい展示もタイルならでは。眼で感じたその質感を指でも味わいながら、そんなことをつらつらと考える私でした。


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