忍びこむデザイン

2016-09-21

〈今日の現場でKJWORKSオリジナルキッチンを見て、昨日からの考察がさらに続いて止まりません。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

昨日、おくどさんと鉄のキッチンの写真を採り上げてこのブログを書きましたが、今日はもしや、その続編的な感じになりそう?というのは、今日行った西宮の現場にも、キッチンが設置されていたんです。

 

前回この現場のことを書いた時、内装屋さんが壁天井のローラー漆喰を塗ってくれていて、それが先週終わりました。そして、内装が終わると後は一気に色んな作業が動き出します。家具や設備の設置工事ですね。

 

家づくりというのは空間をつくることだけではありません。それ以外にこうした造付家具、そして設備機器があってはじめて、暮らしを営むことが出来る「家」になる。なので、内装屋さんが志事を終えた後、現場は急速に「家」としての顔を見せ始めます。

 

そして、昨日も書いた「煮炊き」の場所であるキッチン。今回はシステムキッチンではなく、KJWORKSオリジナルの造付家具としてのキッチンをつくりました。今日の写真は、ダイニングになる側からそのキッチンと、向こう側に手洗いコーナーを望む一枚ですね。

 

キッチンカウンターを見ると、これがシステムキッチンでないのが一目瞭然です。昨日のおくどさんを連想するような、白いタイル張りのカウンタートップですね。そして周囲にはブラックチェリー材の枠が嵌って、その色のコントラストがとても美しい。

 

この2階リビングは、床材もKJWORKS阪神「木の空間」と同じブラックチェリー。その材をキッチン廻りにも併せて使っています。後ろの窓の下のカウンタートップも同じくブラックチェリー材で、これもまたとっても良い風合いです。

 

キッチンは今や「炊事場」を超えて、インテリアの一部としての様相をもつようになってきている、ということを昨日書きましたが、この美しいキッチンもまさにそのひとつでしょう。実用性を失うことなく、しかし空間全体と調和するようなデザイン。

 

あとは、ちょっと見えにくいですが、後ろに少し見えている手洗いコーナーにも、ボウルのすぐ上の壁に美しいモザイクタイルが使われていますよ。こういうちょっとしたワンポイントが、空間をぐっと楽しくさせますね。

 

こうした水廻りのデザインは、本当に色んな魅せ方があります。昨日ご紹介した黒い鉄とステンレス、無垢の木を上手く組合せたデザインもそのひとつですし、こうしたタイル類を導入して、その独特の質感を活かす方法もまたひとつ。

 

カウンタートップは人造大理石で継ぎ目なくつるっと仕上げるのがお好みの方もおられますし、引き出しも含めてオールステンレスでまとめたい、とのご希望をお聞きすることもあります。

 

そういう色んなあり方をふまえて想うのは、やはり「実用」と「見映え」とのバランスをどこに着地させるのか、ということ。キッチンをどうつくるか、ということは即ち、その点でそれぞれのお客さまにそれぞれのお考えがある、ということでしょう。

 

思うに、キッチンという場所は「調理」という明確な目的があり、その意味で「実用」の最たるもののはず。しかしそこにも、人間の感覚が「デザイン」という名の視覚操作を、いつのまにか忍び込ませていくのですね。

 

本来はまさに実用本位のモノであるはずの「おくどさん」であっても、そこにデザインがいつのまにか入り込んでいく。最初は耐久性という意味であったかもしれないモザイクタイルが、おくどさん全体のデザインの要になっている。

 

そしてガスコンロの発明から徐々に「キッチン」という形へ進化するときにも、やはりその実用性と「見た目」とを統合する術として、デザインは常にその進化の過程に忍び込み、そしてこうした多様性への先鞭をつけてきたのでしょう。

 

昨日の考察の余韻でしょうか。今日は現場で美しいキッチンを眺めながら、何だかそういうことばかりを連々と考えてしまって、いや、いけませんね。

 

しかし、昨日から続くこの物思いの中で、人間にとってデザインとはまさに、無意識的と言ってよいほどに自然な営みなんだと、改めて感じ入る私でした。今回の実用と見映えを統合したデザインがお客さまに喜んでいただけること、改めて願うばかりです。


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