たてに連鎖する家

2016-09-24

〈この間取りの絵から、ご一緒に空間をイメージしてみましょう、ちょっと難しいです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

本日も引き続き、昨日お知らせした「間取りギャラリー」ページのための作業をやっていました。その中でちょっと皆さんにお伝えしたいことを見つけたので、そのことを少し。

 

WEBサイトに載せる準備としてやっているのは、私が過去につくった間取りから、掲載に差し支えのないものを選び、その図面表現を簡略化してPDFに、そしてJPGへと変換する作業。これがなかなか大変なのです。

 

しかも、昔つくった間取りを見るたびに、その頃のことを思い出してしまったり、あるいは自分で自分のつくった間取りを改めてじいっと観察したりしてしまって、ますます時間がかかって仕方がありません(笑)。

 

そんな中で、いくつか「スキップフロア」になっている間取りを見つけました。昨今は住宅雑誌などもたくさん出ているので、皆さんもスキップフロア、ご存知でしょうか?

 

私の世代が馴染んだ言い方を挙げると、「半地下」や「中二階」という表現がありますね。スキップフロアとは、そういうモノが存在する家。1階と2階、あるいは2階と3階の間に中間的な階があって、単なる階数以上にたくさんの床レベルがある家のことを言います。

 

スキップフロアの家が向いている時、というのは、敷地に段差、あるいは勾配がついている時、その段差や勾配に合わせて、丸々一階分ではない段差を家の中の床レベルにつけることで、地形にそった自然な空間になる、というわけですね。

 

そこで、今日の冒頭の写真をご覧ください。だいぶ以前につくった間取りで、残念ながらこの絵の通りに施工とはならなかった案です。絵の中に、わかりやすいように床レベルを書いてみました。

 

この家は3階建てですが、外の地面をゼロとし、そこから数えて合計7つの床レベルがあるのがおわかりでしょうか。階段を半階分上がるごとにそこに床があるんですが、図面から読み取れますか?

 

実は、このスキップフロアを図面から読み取って頭の中で立体化することは、かなり難しい。私はそれが志事ですから頭の中の立体を平面上の絵にしていくことに慣れていますけれど、一般の方には至難の業だと思われます。

 

ちなみに、この間取りの家の敷地には段差がなく、フラットです。先述の話と違いますね。なのにそこにスキップフロアの家を計画している。そのことがお客さまのご希望だったのですが、おわかりになりますでしょうか。

 

これも、上の「図面を立体化する」ことと関連しています。ご想像してみてください。スキップフロアの家は、半階ずつ床がずれていきます。ということは、どの部屋も「半分の高さの吹抜け」になる、ということなんです。

 

どの床レベルに居ても、半分下の階、半分上の階が見える。そこに居る人の気配が感じられる。これが、スキップフロアの家がもつ空間の大きな特徴であり、この計画のお客さまはそれをご希望されたのでした。

 

この家のリビングはダイニングとワンルームですが、ダイニングの下にある畳の間も見えているんです。半階ずつずれていきながら、空間としては縦方向につながっている。上下の方向に連鎖する空間をもつ家、それがスキップフロアだといえるでしょう。

 

なんだか今日は、空間をイメージする訓練みたいな文章になってしまって申し訳ありません。でも、この間取り、実現させたかったなあ。とてもおもしろい空間になっているのになあ、としばらくこの絵を眺めていました。

 

このように、間取りの中には色んな敷地条件、周辺環境と対処法、そしてご家族がご希望されるライフスタイルが、ひとつにまとまってギュッと詰まっています。それを、スケッチを重ねながら推敲した末に出来上がった絵は、やはりひとつの暮らしの縮図というか、単なる絵ではない。

 

間取りの絵からそうしたことをイメージしてみてくだされば、私が過去につくった間取りをずっともっていることもご理解いただけるのでは、そんなことを思いつつ、絵を整理していた今日でした。


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