灯りのパラダイムシフト

2016-09-30

〈光源の進化は、徐々に器具そのものの形をも変えていきます。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

木の家づくりのご相談を受け、その後何度も間取りの打合せを重ねてきたお客さま。今日もお話していましたが、どのお客さまも大体、そろそろ間取りが着地しそうな段階になると、話す内容が変わってきますね。

 

それまでは間取りのあちこちについて気になることを尋ねたりしておられるのですが、もうこれでいいかな、という感じになると、間取り以外の部分、間取りの絵では表現されていない、細かい部分へと眼が行きはじめるんです。

 

今日もまた、間取りの図面では表されていない部分へ話が及びました。今回は照明器具のこと。この空間にはどんな灯りが似合いますかね、というような話から、私が使ったことのある面白い器具のご紹介をしたりしていました。

 

そこで話したのが、冒頭の写真のモノ。ちょっと見えにくいですが、これ、照明器具です。光ると逆にこの形状がわからなくなるので、あえて昼間の写真です。少しご紹介しましょう。

 

この、薄い虫眼鏡のような、あるいは金魚すくいのポイのような部分が光ります。点灯していない時は透明の膜なのに、スイッチを入れると、そこが光る。そして、その光る虫眼鏡が回ったり角度を変えたり、スポットライトのように自在に動くんです。

 

この器具を入れたお宅では、写っていませんがこの下にソファが来ます。これは即ち、読書灯ということですね。なので、向きを色々に変えられるものが選ばれたという次第。

 

それにしても、こんな薄い虫眼鏡が、なぜ光るのか?実はこういった、一昔前の常識では考えられない形状の照明器具は他にも色々と出現していて、これらはひとえに「LED」という極小の発光体のなせる技なのでした。

 

実は私の事務所「木の空間」にも、LEDならではの照明器具があって、このブログにも書いたことがあります。再度写真を挙げてみましょう。

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この真ん中の細い棒が照明器具で、その棒の上端から天井に向けて、光が放たれています。そしてもうひとつ、足元の部分も棒が光っている。棒の直径から考えて、いわゆる「電球」が入る大きさではありません。

 

この棒状の灯りはその意外性が面白くて事務所に導入したのでしたが、今日は冒頭の写真の器具のことをお客さまに話していて、改めてこういう「今までにない光り方の灯り」について考えさせられました。

 

電気がないころ、灯りは炎でした。そこからエジソンが発明したフィラメントによって白熱球が出来た。夜が暗く、数少ない電球の照明が頼りだった頃、灯りとは炎の延長線上にあって、非常に求心性の高いものだったと想像できます。

 

それが蛍光灯という「白い灯り」が生れ、部屋全体を煌々と白く明るくしていった時に、それは炎の延長線上からはずれたのだと思います。そういう「明るい部屋」が日本の家庭において一般化していく。

 

でも、私たちがつくる木の家にはそうした「どこもかしこも明るい」灯りは似合わない。私たちも、そして木の家に住みたいお客さま方も、同じ想いのことが多いです。そして、どちらかというと炎の延長線上にある照明計画を考える。

 

それはおそらく今後も大きな意味では変わらないと思いますが、しかしこのLEDによる灯りはまた違った価値観をもたらす気がします。それは「思わぬところが光る」ということ。

 

部屋全体が明るい部屋から、分散型の灯りへ。そして求心性のあるメインの器具と、器具の存在感を抑えて光だけが思わぬところに現れる灯りとのコラボレーション。

 

今、続々とそうした従来の常識を超える照明器具が出て来るでしょう。LEDを使って従来の器具と同じものをつくる路線から、今日ご紹介したような全く新しい発想のものが、もっと増えるでしょう。

 

大袈裟かもしれませんが、蛍光灯の時代から、今また大きな照明業界のパラダイムシフトが起こっているのかもしれません。少なくとも、そういう認識を家づくりに関わる人間はもっておくべき。

 

面白い灯りを愉しみつつも、その背後にあるこうした大きな動きにも注意を払っておきたいもの。今日はお客さまとの愉しい会話から、そういうことに再度気づかせていただいた嬉しい時間だったのでした。


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