兼ねる家具たち

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〈木工事が終わった現場では、大工さんによる造作家具も仕上がっています。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は夕方から、KJWORKS本社「くらしの杜」にて会議の月曜日です。そしてその前に、吹田で進行中の木の家の現場へ立ち寄ってきました。昨日の「お家の勉強会」は座学で、現場を見られませんでしたので。

 

あと二ヶ月弱でお引渡しとなるこの現場、大工さんによる木工事も終わって、今日は電気屋さんが入っていました。木工事完了ということは、大工さんによる造付けの「造作家具」も付いている、ということですね。

 

今日の冒頭の写真は、この木の家の階段を上がったところにある「共用スペース」です。向かって左側が階段の穴、真ん中にカウンターがあり、そして右側には床から天井までの造付け本棚があります。

 

もちろん、このような造作家具は間取りの段階からこの場所につくることが想定されています。そして、この共用スペースをこうしたオープンなスペースとし、階段と吹抜けに通じることで南北に風通しを得る狙いです。

 

最初からつくることが決めてある家具の場合、プラン上それが何かを兼ねてある、ということを、私はよく考えます。用途を兼ねることで製作の作業も減り、なおかつスペースの無駄もなくなる、ということが多いですから。

 

この共用スペースのカウンターは、あえて階段の穴に向けてつくってあります。こうすることで、階段への落下防止の手摺を別につくらなくていい。カウンターを支えている向こう側の板が、そのまま手摺を兼ね、カウンター上の本が落ちるのを防ぐ役目もしています。

 

そしてなおかつ、壁に面したカウンターよりも、向こうの階段のスペースの分だけ壁が目線から離れて、カウンターに座った時にもより広がりを感じることが出来る、という良い面もあると思います。

 

そしてカウンターの背面にある本棚。ちょっと一緒にカメラのアングルの中に納めることが出来ていませんが、この本棚の裏はトイレになっています。この本棚は、壁の代わりにその存在を隠す働きも担っているんですね。

 

もちろん、トイレという性格上、本棚の裏に壁の厚みがあるのですが、手前に床から天井まで本棚をつくることで、その壁の役目を兼ねているとも言えます。そしてなおかつそれが、その壁とその向こうの部屋を感じさせない工夫にもなっている。

 

このお宅にはありませんが、お子さんが小さいお宅では、最初は大きなフリースペースをつくり、それを後から子供部屋として仕切る、ということもよくあります。その仕切も、床から天井までの本棚で兼ねることもでき、壁の厚み分のスペース節約にもなりますよ。

 

また、同じ本棚をつくるのでも、いわゆる「両面棚」とし、同じ厚みを半分はこちら側から、半分は向こう側から使う、ということも可能です。そうすれば厚みを倍にせずに、部屋を家具で仕切ることも。

 

こうした「ハコモノ」の造作家具には、非常に多様な可能性が潜んでいます。必要な寸法を与えてやることで、そして時には「動き」を加えてやることで、さらにその可能性は高まっていく。

 

この木の家にはありませんが、例えば折りたたみ式、あるいは跳ね上げ式のカウンターや、キャスター付きのワゴンなどもその一例と言えるでしょう。それらもまた、スペースの効率化に役立ちます。

 

もちろん、造作家具にもつくる費用が発生します。せっかく余分にお金をつかってつくるのだから、何かを兼ねてつくることで空間の無駄を省き、より役立つようにしたいもの。

 

置き家具には出来ないこうした「兼ねる家具たち」の工夫もまた、注文住宅の醍醐味のひとつでしょう。私などは、お客さまと一緒にその用途と形状と動きなどを話し合う時、「暮らしの実現」の度合いが一気に高まるのを感じる次第です。


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