眺めができあがる時

2016-10-08

〈ようやくゆっくり対面できた、1年以上前に想像していた眺望です。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日はお天気が悪くなる前に、西宮で進む木の家の現場へ少し立ち寄ってきました。もうそろそろ建物は完成、連休明けには美装工事(プロによるお掃除)が始まります。

 

冒頭の写真、とても素晴らしい山の景色ですね。これは2階「家族の間」から北西の方向に開いた、建物角の大きな窓からの眺望です。ついにこれが形になったか、今日はそういう想いで見ていました。

 

この4月に書いた「ねらい定めて」という記事があります。よろしければご参照ください。その時この現場は基礎の段階でしたが、それでも最初に現場を見たときのイメージが上手く取り込めたと実感したものでした。

 

いわゆる旗竿型のその奥、四方を隣家に囲まれた敷地には、しかしうまく「抜けている」場所がいくつかありました。ひとつは南側隣家のお庭の方向、そしてひとつはこの北西角、家の間に見える北の山々です。

 

それらを暮らしの場の中心である2階の「家族の間」に取り込む、というのがこの家の大きなコンセプトでした。先のブログの「ねらい」とは、その抜け、眺望に対して建物を開く、という意味ですね。

 

間取りをつくった私には、基礎の段階でそれが上手くいったと確信できたんです。しかし、実際のその抜けや景色は、工事中はなかなかはっきりとは見られません。足場やシート、色んな養生がありますから。

 

工事も終盤にかかり、足場が解体され、窓に貼られていた養生のフィルムも外されて、ようやくこの景色と対面できた、というわけですね。一番最初に敷地を見てから、もう一年と2ヶ月経っています。

 

元々更地だったこの敷地では、2階からの眺めを得る場所はなく、それらは想像するしかありませんでした。でも、地面から見てこれなら、2階まで上がればこうなる。そのイメージはすぐに湧きましたね。

 

そうした、出来上がる家と周辺環境との関係を想像する力は、私のように家の間取りをつくる人間には必須の能力だと思います。それらは建物内部の三次元イメージを組み立てるのと同じく大切ですから。

 

また、想像し、間取りにし、出来た家でそれを確かめるということをずっと繰り返してきましたから、自分でどうとは言えませんが、そのフィードバックの積み重ねがさらにその想像力を磨いていると思います。

 

とはいえ、やはり実際の景色に対面するまでは、常に不安もあります。先ごろようやく見えてきたこの景色、まず私の想像通りだったのでほっとした、というのが正直なところでしょうか。

 

先のブログに、私はこう書きました。「どんな敷地にも、家の中へ取り込みたいもの、避けたいものがあります」と。いつもそのことは考えていますし、それを現在だけでなく、将来に渡って想像することが、家のつくり手には求められると言えるでしょう。

 

ここではその答えが2階リビングであり、この窓だった。他の家づくりの場合でも必ず、そうした想像力を駆使して間取りに取り込んだ部分があります。それこそが完全一品生産である注文住宅の醍醐味ですね。

 

家ができあがる時、その家からの眺めも一緒にできあがる。今日は出来上がった景色を確かめつつ、今度はそれを日々眺められるお客さまの暮らしの方へ、想像力を働かせる時間でした。


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