オサメる仕掛け

2016-10-11

〈桐の箱に入った個性たちを、じっくり堪能する時間でした。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は朝一番の大阪市内での用事を終え、そのあと土佐堀の「収納の巣」テンネットさんの事務所「Room10」へおじゃましました。8日からやっている「気になるあの人のVIVIDEEP展」を見せていただきに。

 

VIVIDEEPというのは、収納用品をあつかう同社のなかで、代表・宇野さんが発信する収納toolsのレーベルです。今回はその中で、桐で出来た重ね箱「「couche (クーシュ )」をつかった展示。

 

タイトルの通り、宇野さんが気になるあの人に、クーシュを使って「好きなモノをオサメてください」というお願いをされ、そのオサメたものを展示させてもらう、という趣向です。

 

私は、宇野さん個人の展示である「ワタシにオサメル展」でこの桐箱を見ました(ブログ「多面体を愛せ」をご参照ください)。その時には、桐箱に彼女自身の世界がオサメられていたのでしたが、今回はまた別の方々。

 

グラフィックデザイナー:高橋善丸さん、美術家:中島麦さん、テキスタイルアーティスト:奈良平宣子さん、そしてアップデーター:原村陽子さん。この四人が、宇野さんのお題に応えられ、そしてオサメたモノたちが、冒頭の写真のような展示になっていました。

 

ちなみに、事前にこんな文章を読んでいたんです。

「深く豊かな個性とそれぞれの道のキャリアを携えた“気になるあの人”たちが“どんな恋する収納”セカイを繰り広げてくださるのか、皆さんもぜひとも味わいに来てくださいね」と。

 

私は四人の方々と面識はありませんが、今日の展示を観て上の文章に合点がいったというか、そのそれぞれの展示がもつ深み、そしてそれぞれのその「違い」に、大いに感じ入ったのでした。

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それぞれをご説明することはここでは難しいですが、どれもとても個性的。「お題」の受け止め方も、そして表現の方法も。宇野さんのご説明を聞きながら、予想以上にすごいその広がりには、唸ってしまいます。

 

私からはこうお伝えしました。桐の箱はこうした色んな個性を受け止める懐の広さがありますね、と。そうして色々と話をしていると、段々宇野さんのなさっていることが、私なりの言葉になってきた気がしたんです。

 

このクーシュにしても、そして「本の好きなページを開いて飾るアクリル箱」である「The  Pages」にしても、それは媒体のようなもので、それを使って、私が、貴方が、自分の中にあるまだ自分でもわからない指向に気づく、そういうツールなんだ、ということ。

 

そうした、自分の知らない自分を意識の明るみに出し、それを知ることで自分にオサメて、それが自分というものをより豊穣にしていく。彼女がつくるモノたちは、ただ美しいだけでなく、その「仕掛け」そのものなのでしょう。

 

前回は彼女自身の世界がそこに入っていたので気付きませんでしたが、これは多くの方がオサメればオサメるほど、その違いがまた生まれ、広がり、色んなものが視えてくる、そういう仕掛けだったんですね。

 

「そうか、そういうお志事なんですね」と言うと、「そうみたいです」とちょっと嬉しそうに言っておられました。「ワタシにオサメル展」のときも感じましたが、「収納」という、どちらもオサメルと読むこの言葉の概念をどんどん広げ、より豊かにしておられる。

 

桐箱やアクリル箱にせよ、出来上がったものを見ると、さして目新しい形でもなく、素材もごく普通のものです。しかし、それは今までこの世になかったものとしての価値、そして価値の変容という価値をもっているように思います。

 

そうしたモノを発想し、形にし、その意味を示して「ワタシにオサメる」ことを広めていく。そうした宇野さんの活動は、だからこのようにいつも刺激的なのでしょう。今日もまた、その刺激をじっくりと堪能させていただく時間となりました。


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