灯りをけす術

2016-10-12

〈築13年の木の家を味わいつつ、かつての手法の展開に気づきました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は久しぶりに、大阪市内に建つ築13年の木の家にお伺いしてきました。給湯器と貯湯タンクについての不具合をお聞きしていたので、業者さんと一緒にその対応でのご訪問です。

 

こうした設備機器の不具合は、いつ起こるかわかりません。とにかくご連絡をいただいたら、そこから最短で動けるような業者さんとの連携が大事です。今回は器具の交換といった大事にならずに済み、ほっと一息でした。

 

交換部品の発注と施工日の調整をし、あとは久しぶりのご訪問ですので、ご家族と少しお話させていただきました。他には特に大きな不具合もなく、気持ちよく住んでくださっているようで何よりです。

 

冒頭の写真は、2階にある家族の間の天井を見上げたところ。構造材もすっかり色が濃く落ち着いて、とても美しく味わい深くなっています。そして、3階の床の厚板の裏がそのまま表された天井も。

 

この木の家をつくった頃は、こうした「床板裏あらわし」が普通でした。その後、構造上の耐力計算に「水平構面」という概念が導入されて、床下地に厚い構造用合板を使うようになり、こんな風には見せられなくなってしまいましたが。

 

この方法だと梁が全部見せられるので、いかにも「木の家」という感じで、迫力があるんですよね。最近はなかなかやりにくい構造材の見せ方、その風合いを久しぶりに味わっていた次第。

 

そして、その梁と梁の間に挟まっている白い四角い天井のようなもの、これは実は障子です。「坊主張り」といって、組子を全部隠すように紙を張っているので真っ白に見えますね。

 

この障子は何かというと、照明器具のシェードの役割をしているものです。障子の裏側に電灯が仕込まれていて、それが点くと障子紙を通した光が行灯のように部屋を照らす。その具合がいい感じなんですよ。

 

この「建具屋さんがつくる照明」も、この頃によくやっていた手法でした。梁が全て見えるので、その高さ寸法を利用して、そこに照明器具を仕込む。すっきりとして、和の雰囲気もあり、好んで使いましたね。

 

今日、久しぶりにこの灯りを見て感じました。ああ、最近は天井を張っているからこのやり方もめっきりしなくなったなあ、と。ちょっと懐かしい気分で天井にある障子を見ていましたが、そのうちふと気づいたんです。

 

あ、よう考えたら、天井張るときでもこれ出来るやん。写真でも右端の方には白く天井を張っていますが、例えば部屋全体にこうした白い天井が張られていたとしても、照明器具のところだけ張らなければいい。

 

そこは上階床下地の合板が見えていても、そこにこうした障子のシェードが来るのなら、普段は見えないし問題ない。そして、上手くつくれば、白い天井面と障子のシェードを同一面に仕上げることも出来るのでは。

 

そうすれば、まるで照明器具がないような部屋になって、灯りを点けると天井の一部が光りだし、行灯のようになる。もちろんお客さまのお好みにもよる話ですが、そういう方法も場合によっては面白いかも。

 

それは、このように部屋のメイン照明に使ってもいいですが、部分的なワンポイントや、壁際の天井でライン状に使うのも効果的。この「照明器具を消し去る手法」の可能性に、すぐに思い至ったんです。

 

いやあ、いけませんね。天井を張ることが普通になり、それありきで照明計画を考えることが普通になって、こういう「建築でつくる照明」のことがすっぽり頭から抜け落ちてしまっていました。

 

自分で気をつけているつもり、いつも考えをフラットにと思っているつもりでも、やっぱり今の自分の「あたり前」に埋没してしまっている。あたり前を疑う姿勢というものが、ついつい薄れてしまっている。

 

今日はそのことに、昔はよくつくったこの障子シェードが気づかせてくれました。せっかく頭が切り替わったので、また今後の木の家づくりには、こうした「灯りを消し去る術」、採り入れていきたいと思っています。


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