微調整の技能

2016-10-14

〈工場からもってきた建具を、現場に合わせて取り付けてくださる建具屋さんです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

西宮で進む木の家づくり、現場もそろそろ大詰めを迎えています。社内検査、施主検査を控えて、朝から現場に行って進捗確認。今日作業に入っておられるのは、建具屋さんです。

 

KJWORKSのつくる木の家、その内部の建具(引戸や開き戸などのこと)に、既製品はありません。全てその現場に合わせてその都度ひとつひとつ制作されるオーダーメイドなんですよ。

 

もちろん、部屋の入口引戸など、同じ寸法で標準化されているものもあります。しかし、毎回ひとつずつ制作されることは同じ。その家で採用された床材などと合わせ、張る面材もその都度選んでつくります。

 

建具屋さんの志事を書いてみますと、まず木工事が終わった時点で、大工さんが図面に基づいてつくった建具の枠を実測しに来られます。それは、図面どおりと言っても微妙に寸法の差があるから。

 

そして、現場で内装屋さんがローラー漆喰の作業をしている時、建具屋さんは自分の工場で、実測してきた寸法に合わせて建具を一枚一枚つくっている。ちょうどここが上手く並行作業になっているというわけ。

 

そして、現場で内装が終わり、家具や器具の設置も終わり、美装というプロの手による現場の掃除が終わった段階で、つくった建具を現場に搬入、設置します。これを私たちは「吊り込み」と言いますね。

 

今日がちょうどその建具吊り込みの日だったわけですが、もってきて付ければ終わり、というわけではなく、吊り込みにもいろいろな作業があります。写真はちょうど、その志事ぶりを上手く捉えた感じ。

 

ここは2階の家族の間です。今日は3人の建具職人さんが入っておられますね。手前の方がしていることは、トイレの入口引戸を横に倒して、鉋を使ってその寸法を微調整すること。この「微調整」こそが建具屋さんの職能だと言えるでしょう。

 

建具を付ける枠も完全な直線ではなく、完全な水平、垂直でもありません。ごくごく微量ではあるが歪んでいる。しかしその微量が、建具を吊り込むと可視化されるんです。例えば引戸と枠の間のほんの少しの隙間となって。

 

なので、建具の方でその微妙な寸法へ合わせていくんです。建具の四方には若干の削り代がみてあって、こうやって削って微調整するんですね。特に引戸は全てこの削りの調整を要するので、なかなか難しい。

 

また、右奥におられる親方はノミをもっていますね。これは、引戸の錠前が掛かる鍵穴を取り付けておられるところ。これも引戸を付けて引いてみて、合わせてみて、最後に正しい位置に穴を開けて取り付けます。

 

最後に左側の職人さん、キッチンの吊り戸棚に開き戸を取り付けています。この戸棚も先ほどの枠と同様のことですので、戸を開閉するスライド丁番という金物でひとつひとつ微妙な取付位置、開きの動きを調整するんです。

 

全ての作業が終わると、建具が正しく動く。その正しく動くのがあたり前ではありますが、そのあたり前を成立させているのは、この微調整の技能なんですね。現場でその技を見ていると、やはり感心します。

 

既に出来上がっている現場に合う建具をつくり、現場でその総仕上げをして納める。木という生きている材料を使った家では特に、こうした微調整の技能が求められます。現場でも、そして将来的にも。

 

建具屋さんは現場へは2回くらいしか来ません。でも工場での作業を含め、非常に緻密な作業をしてくれており、そうしてつくられる建具というものは家の中で、非常に大きな役割をもっている。

 

さあ、今日のその微調整の技能を駆使してもらって、この木の家もほぼ完成です。明日以降、お引渡しまでに私も何人かの方々に見ていただくことにしていて、それがいよいよ楽しみになってきましたよ。


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