質感で拮抗せよ

2016-10-16

〈見本市でチェックしたステンレスの質感から、思い出すキッチンがありました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

昨日このブログに書いた「LIVING&DESIGN 2016」で、今回は色んな面白い金属の製品たちを見てきました。そしてその中に、オールステンレスのオーダーキッチンをつくるメーカーさんがあったんです。

 

飾られてあったそのステンレスキッチンを見ながら、私は今までKJWORKSでつくらせていただいたオールステンレスのキッチンを思い浮かべていました。冒頭の写真もそのひとつ、少しご紹介しましょう。

 

このお宅のキッチンは壁に向いたタイプ。なのでキッチンそのものも、吊り戸棚も、そしてレンジフードや前の壁まで全てステンレスでつくられています。グリル部分の前面まで含め、統一感がありますね。

 

ここまでステンレスずくめでつくっていますが、でも左側に見える無垢の木と漆喰のインテリアと、違和感はありません。ステンレスの壁の中に嵌った「木の窓」もなかなかよい感じです。

 

オールステンレスキッチンの魅力といえば、何と言ってもその「掃除しやすさ」でしょう。どこに油汚れがついても気兼ねなく拭き取れる、というのは、料理をする方にとってなかなか嬉しいことですから。

 

でもその実用面とは別に、この写真の通り、そのステンレスならではの独特の質感もまた魅力。黒い鉄でもなく、そしてアルミでもない、この独自の金属感が、その質感において木や漆喰とよく拮抗するんですね。

 

その証拠に、といっても私も見たことはありませんが、ビニールクロスの壁天井、クッションフロアの床の部屋にこのようなオールステンレスのキッチンがあったらどうか。おそらく完全に部屋が「負ける」のではないでしょうか。

 

あるいは、このキッチンの前面の窓が、最近よく見る、木に似せたような色をした樹脂のサッシだったらどうでしょうか。これは好き嫌いかもしれませんが、やはりステンレスに負けそう、私はそう感じます。

 

ことほど左様に、使われるモノの素材感、質感というのはインテリアにおいて非常に大切です。そういうモノのもち味がうまく調和し、なおかつその「強さ」においてうまく張り合ってくれる、ということが。

 

いかにも安っぽいプラスチック、塩化ビニル、安易につくられた合板、「プリント」された木目、そういうものたちは、このキッチンに使われたステンレスから放たれる素材のチカラには、勝てそうにありません。

 

私は無垢の木と漆喰を多用して家をつくる志事をしていますので、そうした素材たちがステンレスと同様にもっている、その豊かな素材感を常に肌で感じています。口ではちょっと表しにくい、その感じを。

 

ですから、私がモノを見るときには「それらと拮抗できるか」が常に大きなテーマというか、私のもつ眼鏡になります。昨日書いたような見本市でも、全てそうしたフィルターを通して出展物を見ていますね。

 

素材がもつチカラを感じ、それをどれくらいの大きさ、広さで使うとちょうどいい感じに合うか、を考える。ある一面なのか、それともワンポイントなのか。そういう思考が自動的にはたらく頭になっています。

 

私はプラスチックを好みませんが、でもプラスチックにも豊かな加工性など独自の良さはあり、プロダクトでは良いものも多いです。ただ、木の家の空間に大きな面積で使われたら、その質感は拮抗しない。そこが気になる、という話なんですね。

 

すいません、ステンレスの話でした。ちなみにこうした金属の質感にはその「厚み」も大きく関係していて、プレスでつくられる薄いシンクなどからは、あまり質感は響いてきません。厚い板を溶接で繋いで磨いたキッチンだからこそ放射するものがあるんですよ。

 

今回の展示で見つけたオールステンレスキッチン、弊社代表の福井の目にもとまってチェックしていたそうですので、おそらく近いうちにKJWORKSのキッチンとしてお目見えするかと思います。

 

またその時は、このブログでもご紹介することにいたしましょう。その質感が、込められたつくり手の想いと共に、どう木の家と拮抗しつつ空間をつくりあげたかを。


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