出番をまつ装置

2016-11-04

〈製材に携わる方々を現場へお連れした際、立てかけてあるモノについてひとしきりご説明しました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

昨日は杜の感謝祭で盛り沢山な一日でした。今日は、その前の日に吹田の現場で見たモノについて、さらっと書いてみようかと考えています。現場へお連れした小国ウッディさんとお話したことも交えて。

 

冒頭の写真がそれです。大工さんが現場に居る時につくってくれて、現場に仮置きしている状態。そしてもう少し後で、再び大工さんが現場に来られた時に設置されるので、ここで出番を待っているんですよ。

 

KJWORKSの木の家づくりの現場では、建物本体の建て方からずっと、棟梁を含め2人から3人の大工さんが現場に常駐します。だいたい2.5~3ヶ月くらい、木工事を進めていってくださいます。

 

そして木工事完了とともに一旦現場を離れ、現場ではその後内装工事や各種器具付け、そして家具工事、建具工事、美装工事が順番に。そして建物の外では外構工事が、それらと並行して進行していく感じ。

 

その外構工事に大工さんの出番がまたあるんですね。それは木製デッキをつくる工事、あるいは板塀をつくる工事などです。そして外構屋さんと調整しつつ現場に入る際、この写真のモノも取付られるというわけ。

 

このモノは杉材で、その中でも「赤身」という芯の部分の材を使ってつくられます。それは、屋外で雨に濡れる部位だから。すいません勿体つけて(笑)。これは、窓の外に設置される木製の面格子なのでした。

 

この家ではありませんが、設置されると外観上はこんな見え方になります。なかなかいい感じでしょう?

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木の格子は、日本の建築が生んだ特徴的な装置です。防犯の意味をもちつつ、外から中が見えにくく、中からは外が割によく見える。そしてその姿はもう、日本人のDNAに染み込んでいると言っていいでしょう。

 

写真の面格子は裏に向けて立てかけられています。なので、ビスが見えていますね。こうした面格子はやはり「防犯」を意識しているので、取り付けられたらビスがどこにも見えないようにつくるんですよ。

 

雨に強い赤身の材を使って、なおかつ細長い形状で端と端しか固定がないので、まっすぐに目の通った柾目の材を優先的に使います。現場にお連れした小国ウッディの皆さんも、最初「これは何かな?」という感じでしたが、ご説明すると「きれいな赤身ですね」と。

 

材をつくっておられる方々にこうした「使われ方」を見ていただくのも大いに意味があります。ちなみにこれは小国杉でなく多分吉野杉ですが、上記のような説明を製材再度に認識してもらうのもまた嬉しいこと。

 

やはり木材を屋外で使う、ということについては色々なリスクも伴いますし、それに対して「こう考えて材を使っています」という自分たちなりの考え方、対処方法をご説明できないといけません。

 

そしてそれは、先人の知恵を踏襲し、さらに己の試行錯誤を繰り返す中からしか生まれないもののはず。私がよくお客さまに「一時の流行で木の家をつくるところは駄目です」と言うのは、そういう意味ですね。

 

出来上がって現場に立てかけられたこれだけを見ると、なんということもないモノのように見えます。でもその姿の中には、古来日本人が使ってきた歴史と、材料の選別、特殊なつくり方、そして微妙な寸法の知恵が詰まっている。

 

あまりこういう場面を皆さんご覧になることがないと感じたので、ブログの題材にしてみました。現場とはまさに、こうしたひとつひとつの智慧の集積であり、それを知ってもらうこともまた、つくり手の歓びのひとつですから。


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