絵のようにFIX

2016-11-19

〈KJWORKSモデルハウスからの素敵な眺めには、この窓のあり方も大きく関わっています。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

朝から、しとしとと雨でしたね。せっかく紅葉がすすんで美しくなってきたのに雨で葉が散ってしまったりして、ちょっと残念です。そこで今日は、先日撮ってきたKJWORKSモデルハウスでの写真を一枚。

 

窓から見えるなんとも美しい風景、これはモデルハウス東側道路沿いに大きく育ったトウカエデの紅葉の様子。この緑から赤へのグラデーションの美しさたるや、人間には絶対に出せない自然の神秘ですね。

 

私もしばらく陶然と眺めてからこの写真を撮りましたが、この素敵な風景を切り取っている窓、これはいわゆる「はめ殺し」と呼ばれるタイプの窓。開閉の出来ない、ガラスが嵌っただけのものをこう呼びます。

 

日本語では「はめ殺し」なのですが、私たちプロはこれを「フィックス(FIX)」と呼んだりもします。フィックス窓=はめ殺し窓なんですね。FIXという英語に「固定する」という意味があることからでしょう。

 

でも、私が常々思っているのは、開閉という動作ができずに固定されている、ということからフィックスと呼ばれる、それは何だか寂しいなあ、ということです。なんだか消極的な呼び名、そう思いませんか。

 

英語のFIXには、「固定する、動かなくする」という以外にも意味があります。それは「確固としたものにする、明確に定める」であったり、「(ある場所に)しっかり取り付ける、定着させる」というのもある。

 

このしっかりと定着させる、という感じを私はこの言葉から感じますし、フィックス窓という呼び名からは「景色を切り取って、絵のように定着させる」というニュアンスが強く伝わるんですね。

 

実際のところ、この写真の窓のように、ある素敵な風景を狙って切り取る時には、こうしたフィックス窓が一番効果的です。というのは、動くタイプの窓よりも、動かない窓のほうが、その存在感を消せるから。

 

動くタイプの窓だと、動かない部分と動く部分で、枠が二重に存在します。アルミサッシにせよ樹脂サッシにせよ、硝子の周りの枠の存在感が大きくなり、その分ガラスの面積が減少してしまう。

 

はめ殺し(フィックス)だと、その部分の見た目が非常にスッキリと納まる。なおかつ木の家では、その外側の壁と取り合う部分の枠は無垢の木ですから、まさにそれが額縁のようになる、というわけです。

 

写真の窓も、まさにそうした使い方を感じていただけるでしょう。その他にも、例えば「明り取り」に特化した窓の場合でも、フィックス窓の方がガラス面積が大きくなって都合がいい、ということもありますね。

 

いわゆる引違いをはじめとする開閉機構付きの窓は、その機構のゆえにいくつもの役割を併せ持っている、とも言えます。明り取り、風通し、そして眺望を得る、ことなど。

 

しかし、ある役割に特化する、という狙いがその窓にある時、それこそがフィックス窓の出番です。その意味でフィックスとは、非常に「純度」の高い窓だと言うこともできるでしょう。

 

そう、私にとってフィックスは、ある「確固とした」役割を「明確に定め」て狙う、暮らしの中でのそんな場面が生じたときにこそ使いたい、いわば懐刀のような窓、なのであります。


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