暮らしの灯

2016-11-26-01

〈お会いしてから三年半、ついにこの日がやってきました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日の夕方、かねてより吹田で進めていた木の家づくりが遂に竣工を迎え、めでたくお引渡しと相成りました。Omさん、まことにおめでとうございます。ご一緒させていただきありがとうございました。

 

しかし、残念ながら私はその前の予定があって、お引渡しの最初からはご一緒できず、ちょっと遅れてしまったんです。そしてようやく現場に着いた私の眼に入ってきたのが、冒頭の写真の光景でした。

 

周囲は暗くなりはじめ、部屋の灯りが点いて、内部の木の家らしい表情を映し出しています。これを見て私は強く感じました。ああ、今日からここが現場ではなく、暮らしの営まれる木の家になるんだ、と。

 

家に灯がともることは、そこで営まれている暮らしの情景を強く思い浮かべさせるものですね。現場が「住まい」に変わるのは、実はこの瞬間なのかもしれない、見ていてそんなことを感じた次第。

 

私がいつもお引渡しの時に想うことですが、家というものの最も基本的な役割とは、自然環境という外界から人の生命を守る「シェルター」でしょう。でも、この21世紀においては、それだけでは充分ではない。

 

「ストレス社会」と呼んでもよいほどに人の精神に負荷がかかっているこの社会において、家が担う役割とは、心からほっとできる、癒される、安心できる場所であること、ではないでしょうか。

 

そうした、いわば「心のシェルター」と言うべき役割を、木の家は果たしてくれます。視覚に、嗅覚に、触覚に、聴覚に、どれも優しく訴えかけて、そこに居る人の心をふんわりと解きほぐしてくれる。

 

お引渡しを境にして、私たちがつくる木の家のそうしたチカラが、家と共にお客さまのものになり、暮らしに役立つということが始まっていく。そういうことを、木の家に灯る明かりから改めて感じたのでした。

 

そして今日は、お引渡しと併せて、写真にある煙突の主、薪ストーブの火入れ式もおこなわれたんです。記念すべき初着火をご主人にお願いして、皆さんが炎のまわりに集まりましたよ。

2016-11-26-02

 

思えばこの「火」も、今は暖房の用途ですが、太古の昔は「火」であり「灯」であったのですね。木の家そのもののもたらす安らぎに加えて、この「火」もその古の記憶とともに、人に安らぎを与えてくれます。

 

私とお客さまとは、最初にお会いしてからもう三年半経っています。その間に、色んな木の家を一緒に体感してきました。そして林産地である阿蘇小国町へもご一緒し、木材が出来るところも見てきました。

 

そうした中から、この家の「家としてのあり方」が徐々に定まってきたのは間違いないでしょう。そこに今日「灯」がともり、同時に「火」が起こったことは、長い時間のフィナーレに相応しいではありませんか。

 

さあ、お引渡しを終えれば、もうこれからは私たちが「お邪魔しました、失礼します」と言って帰る番。嬉しいような、少し寂しいような気持ちで帰途につきます。暮らしの灯の暖かさを、お客さまにバトンタッチして。


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