見えないライン

2016-12-01

※写真は本文とは関係ありません。以前に見たそれっぽい土地、とご理解くださいませ。

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

先日、新しい家づくりのご計画で、その候補となる土地を見せていただきました。そしてその後に、その土地の地積測量図を取り寄せてもらって拝見したのですが、その絵がどうも気になる。

 

その理由の前に、このブログをご覧の皆さまは「地積測量図」というものをご存知でしょうか。これは私たち建築屋がつくる図面ではありません。法務局に登記簿と一緒に保管されている、土地の図面なんです。

 

例えばこういう感じのものです。

2016-12-01-02

 

地積とは土地の面積。それを表した図面ということで、これをつくるのは土地家屋調査士さんです。この事例では土地の一辺の長さと対角線の長さが明記してあり、それで面積がわかるようになっていますね。

 

他にも、ある定点からそれぞれの土地の隅などの「折れ点」までを座標で表現している地積測量図もあります。座標による表示のほうが精度が高く、それを再現して図面を描く私たちにはありがたい方式です。

 

で、今日お客さまとお話したその土地のことですが、中古住宅付きで、隣家と建物同士が非常に近接している。となれば、平行に建つこの2棟の壁面線の中央ラインが敷地境界線だろう、そう予測がつきます。

 

しかし、座標で示された地積測量図ではそうなっていない。それによると敷地境界線は、この2棟による平行線とはだいぶ角度がついているんです。それが本当なら、どちらかの家が境界線をはみ出している(越境している)ことになるくらいに。

 

敷地の四隅を見ても、その境界を表すポイントがわからない。境界杭というコンクリートの杭があればすぐに判別がつくのですが、それも明示されていないし、実際どちらが正しいのか、よくわからない状態。

 

とにかく境界が確定しないと正しい敷地面積も出せないし、境界線の角度がわからないと家を正しく配置することもできないので、お客さまへは不動産業者から確かな情報を得ていただくようお願いをしました。

 

でも、実は今回に限らず、こうした敷地境界が定かでない土地は、実は結構あるんです。例えば冒頭の写真のように、土地が河川敷などの斜面と接している時に、敷地と斜面との境界線があやふやだったり。

 

そもそも、地積測量図がない土地もいっぱいあります。その場合は「公図」という、だいたいの土地の形が書いてある画地図のようなものと登記簿にある面積から、まずだいたいの見当をつけるしかない。

 

その後、現況を把握する意味で、測量業者さんに入ってもらって測量図をつくります。そして必要があれば、そのデータを一部つかったりしながら、土地家屋調査士さんが地積測量図をつくり、登記をしなおす。

 

ただし、元々その境界線があやふやで、「見えないライン」になってしまったものを復元する、あるいは新たに設定するのですから、その土地の持ち主だけで話は済みません。

 

そこに接するすべての土地の持ち主による「そのラインでよし」という了承が必要になるんです。ひとつのラインは双方の境界ですから、当然ですね。でも、人数が増えるとその手続がややこしくなる場合も。

 

なので、私たち家のつくり手もそこには敏感になるし、今回のような「?」ということがあれば、そこをきっちりと理解し、認識した上での土地購入をお薦めしているんです。

 

土地の権利関係は面倒な事態になることもありがち。特に代替わりした時に問題になる、なんてことも聞きますし。自分が権利を有するのはどこまでなのか、それをきちんと把握し明示しておくことも、「暮らしの安心」の大事なポイント、そうご認識いただければと思います。


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