蔵の中の茶碗

〈東洋古美術の粋と、心地よい庭園の緑や紅葉を愉しむ休日でした。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日はお休みをいただいておりました。快晴に恵まれた午前中から、またも日本文化の粋に眼福を得、そして大阪の歴史に触れる時間を楽しんできたので、写真多めでそのご報告をいたしましょう。

 

冒頭の写真、ちょっと陰になってわかりにくいですが、何やら蔵のようですね。屋根越しの光が紅葉を輝かせているのがとても美しくて撮った一枚ですが、この写っている建物は、美術館なんですよ。

 

ここは大阪市内、都島区網島町というところ。大川のほとり、造幣局のちょうど反対側の岸辺にある「藤田美術館」です。久しぶりのここの企画展示、会期終了間際の「桃山と江戸へ」展へと訪れました。

 

蔵のような美術館、というか、実は元々は本当の蔵で、それを美術館にしているんです。まさに「収蔵品」の展示のために。常設展はなく、春と秋にそれぞれ3ヶ月会期の企画展があるのみです。

 

では、なぜ蔵が美術館になったのか。それは、この蔵が付属していた邸宅に住んだ人物の蒐集品を、展示という形で一般開放するため。その人物とは、明治期の関西経済界の重鎮、藤田傳三郎です。

 

藤田財閥の創始者・藤田傳三郎は、稀代の古美術蒐集家でした。そしてこの場所に、広大な庭園つきの邸宅があったんですね。本邸、西邸、東邸と3つの家があり、全体敷地は1万6千坪というから凄い。

 

戦災で多くが消失してしまい、現在は本邸跡がこの藤田美術館とその横の「藤田邸跡公園」となり、西邸跡は大阪市公館に、東邸跡は太閤園になっています。今日の私は本邸跡地を徘徊していたというわけ。

 

藤田家の蔵には木造と鉄筋コンクリート、2種類あるらしい。美術館となった今、エントランスや事務室、収蔵庫はコンクリート、そして展示室は木造の蔵が転用されている様子。この展示室がまたいいんです。

 

WEBで見つけた小さな写真ですが、こんな感じです。

 

収蔵品は数千点といいますから、企画展でも観られるのはほんの一部です。それでも重要文化財5点を含む茶道具や、軸や屏風などを観ることが出来ました。今日私に感動をくれた逸品はこんなモノたち。

樂家三代ノンコウ作 黒楽茶碗 銘「千鳥」

 

本阿弥光悦作 赤楽茶碗 銘「文億」

 

織部好み 御所丸黒刷毛茶碗 銘「夕陽」

 

他にも永徳、探幽、光琳などなど、素晴らしい展示の数々にすっかり眼力を使い果たした感が。なので美術館を出た後は、同じ邸宅の庭園であったという「藤田邸跡公園」でしばしのんびりと休憩していました。

 

こちらも気持ちいいので、写真でご紹介しましょう。

公園の入口がこれ。これが藤田傳三郎本宅の表門だったそうです。

遠くにはOBPや、帝国ホテルのタワーが見えていました。

 

そして最後に、大川の畔をゆっくりと散歩。川や庭園では空が広く感じられるのがいいですね。とても気分が落ち着きます。時々行き交う舟が立てる波紋を眺めるのもまたよろしい。

 

今日は私にとって休日のベストセレクトと言える「日本の古美術を鑑賞 → 自然を感じられる場所で寛ぐ」というコースを、珍しく大阪市内で愉しむことが出来ました。大いにリフレッシュし得た時間に感謝です。


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